簿記2級の次の資格は何を選ぶ?老後まで使える経理の組み合わせ

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簿記2級に合格した後の次の資格は、老後まで経理で働きたいなら、税理士試験の簿記論かFP(ファイナンシャル・プランニング技能士)のどちらかから選ぶのが現実的です。簿記2級で身につけた知識をそのまま使えて、定年後の働き方にもつながるからです。金融業界へ進むならFP、不動産の経理なら宅建、経理の実務を深めるなら簿記1級と、目的が変われば選ぶ資格も変わります。

合格した直後は達成感が大きい反面、次の一手が決まらず手が止まりがちです。簿記2級の合格率は10〜30%前後で、突破した時点で受験者の中では上位に入ります。その土台を、転職や独立、老後の収入にどうつなげるかを考えるための材料をそろえました。

ここでは簿記1級、税理士、FP、宅建、社労士、USCPAを順に取り上げます。合格率や勉強時間、老後の働き方との相性を、2026年9月29日時点で確認できた数字で整理しました。

簿記2級の次の資格へ階段を上る会社員のイラスト
目次

簿記2級の次の資格は「転職」か「資格の上積み」の二択から始まる

簿記2級を取った後の進路は、大きく分けて2つあります。ひとつは資格を足さずに転職や実務に進む道、もうひとつは、もう一段資格を積んでから動く道です。どちらが正しいという話ではなく、いま経理の実務経験があるかどうかで選び方が変わります。

経理の実務経験がまだない人は、先に転職して現場を踏むほうが早いと私は考えます。簿記2級は経理職の求人票で「簿記2級以上」と条件に書かれることが多く、応募の入場券として十分に働くからです。反対に、すでに経理として働いている人は、2級のままでは差がつきにくいので、次の資格で専門性を足す価値が出てきます。

簿記2級のダブルライセンス候補は9種類

簿記2級との組み合わせとして名前が挙がる資格は、簿記1級、ビジネス会計検定2級、宅建(宅地建物取引士)、FP、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、税理士、公認会計士、建設業経理士、米国公認会計士(USCPA)の9つです。

ビジネス会計検定は、簿記2級があれば3級を受けずに2級から受けても余裕を持って受かるといわれる資格です。建設業経理士は、建設業界の経理で簿記2級と組み合わせると強みになります。MOSは、経理の事務作業の速さを底上げしたい人向けです。9つ全部を取る必要はまったくなく、自分が進む業界に合う1つか2つに絞るのが正解です。

簿記2級の合格率は10〜30%前後、合格基準は70点

次の資格を選ぶ前に、いまの自分の位置を数字で確認しておきます。簿記2級の合格率は10〜30%前後で、実施回によって幅があります。直近では統一試験が約15〜29%、ネット試験が約33〜36%で、過去10年分を平均すると20.5%です。

合格基準は100点満点のうち70点以上で、配点は商業簿記が60点、工業簿記が40点です。3級で出題されていた商業簿記に工業簿記が加わるため、3級から一段難しくなります。5人に1人しか受からない試験を通ったのですから、次の資格では、ゼロから学ぶ範囲を減らして進められます。この有利さを使わない手はありません。

簿記1級の合格率は13.9%、必要な勉強時間は500〜600時間

簿記2級・宅建・簿記1級・社労士の合格率を比較した棒グラフ

簿記1級は、経理の知識を網羅的に身につけたい人が目指す資格で、合格率は約10%前後です。過去5回分の平均は13.9%と、簿記2級の平均20.5%を大きく下回ります。かなりの難関です。

勉強時間は、講座を利用する場合で400〜600時間が目安です。簿記2級に合格した人でも、1級の合格には500〜600時間かかります。独学になると1000〜2000時間という見方もあり、講座を使うかどうかで負担が2倍から3倍近く変わる計算です。

1日2.5時間の学習なら、7〜10か月前から始めるのが目安

500〜600時間を1日2.5時間で割ると、およそ200〜240日です。土日に休む日や仕事で疲れる日を差し引けば、試験の7〜10か月前には勉強を始めておく必要があります。独学の1000〜2000時間なら、同じ2.5時間のペースで400〜800日、つまり1年以上から2年ほどかかる計算です。

働きながらこのペースを保つのは、正直しんどいと思います。簿記1級を選ぶなら、講座を使って期間を短くするほうが、途中で挫折する確率は下がるはずです。

簿記1級は暗記では通らず、会計基準の考え方から問われる

簿記1級が難しいのは、計算問題が複雑になるからだけではありません。会計学では理論問題も出題され、会計基準の背景にある考え方や、なぜその処理をするのかという理解が求められます。丸暗記やパターン学習では合格できません。

見返りとしては、実務経験と組み合わさった場合に、簿記1級の保有者は簿記2級の保有者より年収が50万円から100万円ほど高くなる傾向があります。もちろん個人の年収を保証する数字ではありません。それでも、1級で身につく体系的な理解は、税理士試験や公認会計士試験に進むときの土台にもなります。経理の実務を深めたい人には、選ぶ理由のある資格です。

税理士は簿記2級から最も近い資格で、科目合格制なので働きながら続けられる

税理士試験の必須2科目と税法3科目を1科目ずつ積み上げる図

老後まで見据えるなら、簿記2級の次は税理士試験の簿記論が最有力だと私は考えます。理由は3つあります。簿記2級と学習内容が重なること、受験資格が不問になったこと、そして1科目ずつ合格を積み上げられることです。

簿記論は、簿記2級と重なる内容が多くあります。2級の勉強で得た知識をそのまま活用できるのは、2級合格者だけが持つ強みです。

簿記論と財務諸表論は2023年度から誰でも受験できる

令和5年度(2023年度)の税理士試験から、会計学科目である簿記論と財務諸表論は、受験資格が不問になりました。学歴や実務経験の条件を気にせず、簿記2級を取った人がそのまま挑戦できます。

税理士試験は5科目の合格が必要で、一度に受ける必要はない

税理士試験は全11科目から5科目を選ぶ科目選択制です。合格には、必須科目の簿記論と財務諸表論の2科目に加えて、法人税法か所得税法のどちらか1科目以上を含む税法3科目が必要で、合計5科目に合格しなければなりません。

税理士試験は科目合格制なので、5科目を一度に受ける必要はありません。1科目ずつ受験してかまわないため、仕事を続けながら、合格した科目を少しずつ積み上げていけます。簿記1級のように、まとまった勉強時間を一気に確保しなくてよい点は、社会人にとって大きな利点です。

税理士の平均年齢は60歳以上、定年がなく60代でも70代でも依頼が届く

税理士の平均年齢は60歳以上です。老後の資格として強いのは、高い年齢まで働く人が多い仕事だからで、理由は3つあります。定年がないこと、業務が長期的に続けやすいこと、顧客との関係が途切れにくいことです。60代でも70代でも仕事の依頼が届くという解説もあります。

会社員なら60歳や65歳で区切りが来ますが、税理士は自分でやめると決めるまで続けられます。5科目そろえるまでの道のりは長いものの、科目合格制なので、途中で仕事が忙しくなって立ち止まっても、積み上げた科目は残ります。

FPは簿記との相性がよく、金融機関では昇給の条件になることがある

金融業界を目指す人、あるいは老後の資産運用を自分で考えたい人には、FPが向いています。FP技能検定は国家資格で、3級から受験できます。受験資格はなく、未経験でも受けられます。取得後は、証券会社や銀行などの金融業界、保険会社、不動産会社で活躍の場があります。

FP2級では、ライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続の6分野が出題されます。学科試験に加えて実技試験もあります。簿記2級が工業簿記まで含めて出題範囲と計算量を広げる試験だったのに対し、FP2級は分野の幅で勝負する試験です。

簿記2級とFP2級の組み合わせは、金融機関の転職で評価される

簿記とFPのダブルライセンスは、金融機関での就職や転職、出世で大きな武器になります。2級以上の組み合わせは金融機関などで高く評価され、転職活動で有利に働きます。金融・不動産関係の求人には、募集の必須条件や、昇給・昇格の条件になっているものもあります。

金融業界は資格を重んじる業界で、昇格のために多くの資格取得が求められる会社も少なくありません。銀行や保険会社に勤めている人は、簿記2級を持っているだけでなく、FPまで取っておくと社内の評価が変わりやすくなります。

FPは老後の資産運用と副業の両方に使える

FPで学ぶ金融知識は、投資、保険、ローンなどの身近なお金の問題に直接使えます。定年後に備えて、自分の資産運用やライフプランを組み立てる場面で役に立ちます。さらに、金融コンサルタントとして副業をする機会も広がり、新しい収入源を持つ道が開けます。老後の家計を守る使い方と、稼ぐ使い方を両方持てる資格は多くありません。

宅建は合格率18.7%、簿記2級の減価償却の知識がそのまま使える

不動産業界の経理を目指すなら、宅建士(宅地建物取引士)を選ぶ意味があります。簿記2級で学ぶ減価償却や、不動産を取得・売却したときの仕訳は、不動産会計と密接に関連しているからです。学んだ内容が実務の場面でつながります。

令和7年度(2025年度)の宅建試験は、合格点が33点(50点満点)、合格率が18.7%でした。受験者数は245,462人、合格者数は45,821人です。前年度と比べると、受験者数は4,226人、合格者数は829人増えました。合格率はおおむね15〜18%前後で推移していて、不動産系の資格の中では難易度が高めです。

受験者24万人の資格は、簿記2級と同じ難易度帯にある

受験者が約24万人という規模は、宅建が幅広い層に選ばれている資格であることを裏づけます。合格率も簿記2級の10〜30%前後とほぼ重なるので、簿記2級に合格した人であれば、法律系の学習に慣れれば十分に狙える範囲にあります。

FPと同じく、宅建士も定年後の資産運用やライフプランの計画に役立つ資格です。経理と不動産の知識を両方持っていれば、不動産会社の経理から、自分の資産を管理する場面まで、使える場所が広がります。

社労士の合格率は5.5%、経理の延長ではなく別の専門分野を足す資格

独立や開業を老後の選択肢に入れたい人は、社会保険労務士(社労士)に目が向くでしょう。特定の会社に属さず開業でき、有資格者にしかできない独占業務があります。行政機関に提出する書類の作成や手続きの代行が、主な仕事です。年齢を問わず活躍しやすく、社会経験を生かした再就職や、自宅での開業にも向いています。

ただし、試験は簡単ではありません。令和7年度(第57回)の社会保険労務士試験は、受験者数が43,421人、合格者数が2,376人、合格率は5.5%でした。前年度より合格率は1.4ポイント下がり、合格者数も約600人減っています。社労士の合格率は例年5〜7%前後で、出題範囲の広さと合格基準点の厳しさが、合格率を押し下げています。

簿記2級の合格率が10〜30%前後であることと比べると、社労士は倍以上の狭き門です。社労士は経理の知識の延長にある資格ではなく、人事・労務という別の分野を足す資格ですから、簿記2級の勉強の勢いだけでは通りません。計画的に長い時間をかける覚悟があるなら選ぶ価値があり、そうでなければ、先に税理士科目やFPで足場を固めるほうが安全です。

USCPAと公認会計士は、現役時代のキャリアを厚くする資格

簿記2級の次に、米国公認会計士(USCPA)や公認会計士を思い浮かべる人もいるでしょう。簿記が取引を記録する作業であるのに対し、会計は報告と分析の作業です。簿記を生かす仕事は主に経理で、会計士資格を生かす仕事は主に会計監査になります。

難易度の比べ方には注意が必要です。勉強時間で見るとUSCPAが最も大変で、合格率の数字だけなら簿記1級のほうが低く、難易度が高く見えます。USCPAには英語で解答するという別の壁もあります。

簿記1級とUSCPAのダブルライセンスには、勉強が重なる利点があります。簿記の試験とUSCPAのFAR(財務会計)科目は、出題内容が非常に似ているからです。年収については、USCPAは外資系企業を中心に600〜1,000万円程度のレンジで評価されます。これも個人の年収を保証する数字ではありません。日系の大手企業でも、海外展開を加速している会社ではUSCPA保有者の価値が高まっています。

ここで私の見方をはっきり書いておきます。この2つは現役時代の年収やキャリアを押し上げる資格で、老後の独立や副業に直結するのは、前に挙げたFP、社労士、税理士のほうです。自分の残りの働く年数を数えて、現役時代に効かせたいのか、老後に効かせたいのかを先に決めてください。

60歳以上でも簿記2級の経理求人はあるが、給与は現役時代より下がる

簿記2級を土台に経理の給与・FP・税理士・社労士で老後の収入を支える図

老後も経理で働けるのかという疑問には、求人サイトの検索結果が答えになります。60歳以上を対象にした検索でも、簿記2級を条件にする求人が並びます。ある求人サイトでは「簿記2級 60歳以上」の求人が54件表示されていました。件数は検索した時点のもので、日によって変わります。

会計事務所や税理士法人には、アクティブシニア(60代)を歓迎する求人があります。上場企業の経理業務では年収350万円〜550万円の求人があり、一方で予定年収373万円(月額基本給20万円)といった求人もあります。多くの求人票が、経理職の要件として「簿記2級以上」を求めています。

再雇用や再就職では、定年前の給与を保つのは難しい

ここで甘い期待は持たないほうがいいでしょう。再雇用や再就職では、それまでの給与額を維持するのが難しく、定年前より給与が下がる傾向があります。簿記2級は、年齢を重ねた後に経理職へ応募するための共通の入場券にはなりますが、収入を保つ切り札にはなりません。

だからこそ、FPや税理士科目、社労士などを組み合わせて、収入源を複数持つ発想が老後には必要になります。会社員として経理を続けながら、独立や副業、資産運用の相談といった別の柱を育てておけば、給与が下がったときにも家計が崩れにくくなります。

目的別に見る簿記2級とのダブルライセンスの組み合わせ

ここまでの内容を表にまとめます。自分がどの行に当てはまるかを見てください。

目指す方向選ぶ資格選ぶ理由
経理の実務を極めたい簿記1級、ビジネス会計検定2級、建設業経理士経理の知識を体系的に深められる。建設業経理士は建設業界の場合
会計・税務の専門家として長く働きたい税理士、公認会計士簿記論は簿記2級と重なる。税理士は平均年齢が60歳以上
金融業界で評価を高めたいFP金融機関で評価され、昇給や昇格の条件になる求人もある
不動産業界の経理を目指したい宅建減価償却や不動産取引の仕訳が不動産会計に直結する
グローバルな会計キャリアを目指したいUSCPA簿記1級とFAR科目の内容が近く、外資系で評価される
事務全般の作業を補強したいMOS経理の事務作業の効率を上げられる
老後の独立や副業まで見据えたいFP、社労士、税理士年齢を問わず続けやすく、独立や開業の道がある

簿記2級の次の資格でよくある疑問

簿記2級から、いきなり税理士の簿記論を受けても問題ありません

簿記1級を経由せず、簿記2級から直接、税理士試験の簿記論に進めます。簿記論は簿記2級と重なる内容が多く、2023年度からは受験資格も不問です。老後の資格として考えるなら、1級に500〜600時間を先にかけるより、簿記論から入るほうが近道になります。

簿記2級とFPは、どちらを先に取ってもかまいません

簿記2級にFPを足す組み合わせは、金融機関で高く評価されます。FP3級は受験資格がなく、未経験でも受けられます。金融機関に勤めているなら、両方を早めにそろえるほうが評価につながります。順番より、2級以上の組み合わせをそろえることに意味があります。

老後に向けた資格は、50代のうちに1科目でも手をつけたい

社労士は年齢を問わず活躍しやすい資格で、税理士は平均年齢が60歳以上です。社会経験を生かした再就職や開業に向く資格が、この2つにはあります。ただし、社労士の合格率は5.5%と低く、税理士は5科目そろえるまで時間がかかります。だから早めに動くほうが得で、50代のうちに1科目でも手をつけておくと、60歳を迎えたときに選べる道が変わります。

老後まで経理で働くなら、最初の1つは税理士科目かFPを選ぶ

簿記2級の合格率は10〜30%前後で、突破したこと自体が強みです。次の資格は、進みたい業界と、何歳までどう働きたいかで決めてください。

経理として専門性を深めるなら簿記1級や税理士、金融や不動産に広げるならFPや宅建、老後の独立や副業を考えるならFP、社労士、税理士が有力な選択肢です。私なら、老後まで経理の知識で稼ぎたい場合、簿記論から税理士試験に入ります。簿記2級と学習内容が重なり、受験資格が不問で、科目合格制なので働きながら続けられるからです。

ダブルライセンスは、資格の数を増やすことが目的ではありません。自分の強みが1つ増えるように組み合わせることが肝心です。まずは目指す業界と、働きたい年齢を紙に書き出すところから始めてください。

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