60代から仏教検定に挑戦するなら、日本仏教協会が主催する「日本仏教検定(仏検)」の3級が最初の一歩になります。3級には受験資格の制限がなく、受験料は3,000円(税込)で、届いた問題を自宅で調べながら解く形式です。2級は5,000円、1級は8,000円で、3つの級の受験料の合計は16,000円です。
会場へ出かけずに受けられるので、足腰や移動に不安を抱えている人、試験会場から遠い土地に住む人でも受けやすい仕組みです。時計を気にしながら机に向かう試験ではありません。体調と相談しつつ、問題が届いてから返送の期限までのあいだに、少しずつ解き進められます。年齢を問わず挑戦しやすい形式です。

仏教検定の代表的なものは主催団体の違う3つで、60代が受けやすいのは在宅型の仏検
60代の受験先としていちばん検討しやすいのは、自宅で受けられる日本仏教協会の「日本仏教検定」です。名前の似た検定のうち代表的なものは、ほかに2つあります。
ひとつは、略称をjabiasという一般社団法人の仏教協会による「仏教検定」です。筆記試験の形式をとり、級は1級から4級までの4段階に分かれています。
もうひとつは「仏教検定協会」の検定で、10級から1級まで用意されています。こちらは講座を受講してから受験する仕組みです。座禅や参拝を体験しながら学ぶコースがあり、国宝を写経するイベントも企画されています。
日本仏教検定の略称「仏検」は、フランス語の技能検定でも使われている呼び名です。「仏検」とだけ入れて探すと、フランス語の試験の情報が混ざってしまいます。「日本仏教検定」や「仏教検定」という正式名称を使って探せば、取り違えずに済みます。
日本仏教検定の費用は3級3,000円、2級5,000円、1級8,000円

日本仏教検定は3段階で、下の級に受かった人だけが上の級へ進めます。級ごとの条件は次の表のとおりです。
| 級 | 受験資格 | 受験料 | 出題形式 |
|---|---|---|---|
| 3級 | 誰でも受験できる | 3,000円(税込) | 文章の穴埋め問題50問 |
| 2級 | 3級の合格者 | 5,000円 | 一問一答形式50問 |
| 1級 | 3級と2級の両方の合格者 | 8,000円 | 論文記述2問 |
最初から1級に申し込むことはできません。
3つの級を順に受けた場合、受験料は合わせて16,000円です。一度にまとめて払うお金ではないので、合格するたびに次の級へ進むかどうかを考え直せます。受験料のほかにかかるのは、参考書を買うときの書籍代です。
在宅型の試験なので、勉強時間は体調と生活のリズムに合わせて組める
日本仏教検定には、出向く試験会場も、決められた試験時間もありません。申し込むと問題が郵送で届き、参考書を開いても、インターネットで調べてもかまわない決まりです。答えを書き終えた解答用紙は、期限までに郵送で送り返します。
この仕組みの利点は2つあります。まず、会場までの移動や長時間の着席がいらないため、体への負担が小さく済みます。
次に、暗記ではなく調べて解く試験なので、仏教にほとんど詳しくない人でも挑戦できます。調べていく過程が、そのまま学びになります。
3級の50問を調べ終えるころにはかなり疲れたという受験者もいる
調べながら解けるといっても、すぐに終わる試験ではありません。3級の受験者がブログにつづった感想では、調べずに答えられる問題はほとんどなく、全問を解き終えたころにはずいぶん疲れていたそうです。穴埋めの50問を1問ずつ調べ続けるには、相応の時間と集中力が必要です。
一方で、勉強なしで受けられる試験を斬新だと感じた人もいます。別のブログでは、調べれば誰にでも受かる試験だと考えて、2級へ進むのをやめた人の例も紹介されています。
申し込みから合格証書が届くまでは郵送と銀行振込で進む

3級の手続きは、公式サイトにある3級の申込フォームから始まります。必要事項を入力して送ると自動返信メールが届くので、そこに案内された申込書をダウンロードします。申込書に記入して郵送し、受験料を指定の口座へ銀行振込で納めます。
公式サイトの案内では、申込書が届き入金が確かめられたあとに問題一式が発送され、到着まで約2週間かかるとされています。受験者の体験談によれば、答えを期限内に送り返してから数週間で、合格証書が手元に届いたそうです。
インターネットだけで手続きが終わる試験と比べると、振込や郵送のぶん手間は増えます。
jabiasの仏教検定は60分で20問を解く筆記試験
一般社団法人仏教協会(jabias)の仏教検定は、試験時間60分で20問に答える筆記試験です。受験料は1科目3,000円とされ、仏教に興味がある人なら誰でも受験できます。
合格に必要な点数は級によって変わります。1級は90点以上、2級は80点以上、3級と4級は60点以上で、上の級ほど高い得点を取らなければなりません。
日本仏教協会の仏検とjabiasの検定は、実施する団体も、申し込みの方法も、受験料も別々です。履歴書や名刺に書くとき、知り合いに受けた検定の話をするときは、団体名まで添えておけば誤解を招きません。
仏教検定の勉強で何度も出てくるのは日本仏教の「13宗56派」

日本の仏教は、一般に「13宗56派」に分けられます。分派まで数えれば150を超えるという見方もあり、宗派の名前は仏教検定の勉強で繰り返し登場します。13の宗派を系統ごとに並べると、次のようになります。
| 系統 | 宗派 |
|---|---|
| 奈良仏教系 | 法相宗、華厳宗、律宗 |
| 密教系 | 天台宗、真言宗 |
| 浄土系 | 浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗 |
| 禅宗系 | 臨済宗、曹洞宗、黄檗宗 |
| 法華系 | 日蓮宗 |
平安時代の末期から鎌倉時代にかけて、天台宗を母体に浄土系、禅、日蓮系などの新しい教団が生まれました。
浄土宗を開いたのは法然です。阿弥陀仏の念仏によって人は救われると説き、「南無阿弥陀仏」と唱えます。日蓮宗は法華経を何より大切にし、唱える言葉は「南無妙法蓮華経」です。禅宗は瞑想を重んじる宗派で、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗がここに含まれます。
鎌倉仏教の開祖として並ぶのは法然、親鸞、一遍、日蓮、栄西、道元の6人
日蓮の『立正安国論』は、社会を安らかに保つための改善策をまとめ、鎌倉幕府に差し出した書です。一遍の『一遍聖絵』は、弟子の聖戒が絵師を連れて全国を歩き、師がたどった道を追いながら書き上げたもので、一遍が亡くなって十年後に完成しました。
仏教の基本の教えは四諦と八正道で、人生は苦であるという真理から出発する
仏教の大きな筋道は、人生が苦であるところから出発し、八正道を実践して解脱し、涅槃に至るというものです。その土台にあるのが、四諦と八正道です。
四諦は、4つの真理をまとめた呼び名です。苦諦は人生が苦であること、集諦は苦には原因があること、滅諦は苦を滅することができること、道諦は苦を滅するところへ至る修行の道があることを表します。
八正道は、このうち道諦の中身にあたる8つの実践です。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 正見 | 四諦の道理を正しく見ること |
| 正思惟 | 正しく考えること |
| 正語 | 正しく語ること |
| 正業 | 正しい行いをすること |
| 正命 | 正しい生活をすること |
| 正精進 | 正しい努力をすること |
| 正念 | 正見を得る目的を念じて忘れないこと |
| 正定 | 正しく清浄な禅定に入ること |
四諦と八正道は原始仏教の中心に置かれてきた教えです。ただ、仏教学者の中村元は、もっとも古い層に属するとみられる経典スッタニパータにこれらの教義が出てこないとして、教義の大部分は釈迦の死後に段階を追って成立したという説を立てました。
日本への仏教伝来は538年説と552年説の2つ
仏教が日本に伝わった年は、2つの説に分かれています。538年説の根拠は『上宮聖徳法王帝説』や『元興寺縁起』などで、552年説の根拠は『日本書紀』です。
仏教を伝えたのは、百済の聖明王でした。百済は朝鮮半島の南部をめぐって新羅と争っており、倭との政治的な結びつきを深めて支援を得る見返りに、新しい文化を差し出したという事情がありました。もっとも、538年と552年はあくまで公式な伝来の年です。それより前から、渡来人の手で仏教は日本に持ち込まれていたとみられています。
伝来後の主な出来事を年代順に並べると、次のとおりです。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 594年 | 仏教興隆の詔が出される |
| 607年 | 法隆寺が建立される |
| 621年から622年ごろ | 聖徳太子による『三経義疏』が成立 |
| 752年 | 奈良の東大寺の大仏が完成 |
| 794年 | 平安京へ遷都 |
| 805年 | 最澄が天台宗を開く |
| 806年 | 空海が真言宗を開く |
仏像は如来、菩薩、明王、天部の4種類に分かれ、表情や姿に違いが出る
仏像は大きく4つの分類に分けられ、それぞれが担う役割も違います。
| 分類 | どんな存在か | 主な例や置かれ方 |
|---|---|---|
| 如来 | 悟りを開いた存在で、仏教世界の中心 | 釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来、薬師如来 |
| 菩薩 | 悟りを目指して修行し、苦しむ人々に救いの手を差し伸べる存在 | 如来の左右に置かれることが多い |
| 明王 | 大日如来の化身。怒った顔つきで、教えに背く人々を導く | 不動明王 |
| 天部 | インド古来の神々を仏教の守護神として取り込んだもの。火や雷、川などの自然に由来するものや武神が多い | 梵天、帝釈天、四天王、十二神将、吉祥天 |
明王が受け持つのは、如来の優しさだけでは救いきれない人々です。仏像の前に立ったときの見分け方としては、穏やかな顔つきなら如来、怒った表情なら明王、武装した姿なら天部であることが多いという傾向があります。ただし、像や寺院によっては当てはまらない例もあります。
般若心経は『大般若経』600巻の要点を300字足らずに収めたお経
般若心経は大乗仏教のお経で、600巻ある『大般若経』の要点を短くまとめたものです。300字に届かない字句の中に、その精髄が詰まっています。字数は262字とも266字とも紹介されます。題名を数に入れるかどうかなど、数え方によって差が出るためです。
般若心経の中心にあるのが「空」です。空は「からっぽ」を意味する言葉ではなく、実体がないこと、決まった形がないことを指します。
経の一節「色不異空・空不異色・色即是空・空即是色」は、物質が空であることを説明した箇所です。辞書を引くと、色即是空は、この世の物質的なものはどれも、その姿のままで空だという意味になります。世界が空だと体得して、あらゆる苦しみから解き放たれたという流れの中で語られる言葉でもあります。
対をなす空即是色は、空であると体得できたとき、現象として現れている存在がそのまま実在だとわかる、という意味です。色即是空と空即是色は、2つ一組で理解する言葉です。
三宝は仏、法、僧の3つの宝で、仏教に入る基本の条件
三宝とは、仏と法と僧という3つの宝のことです。仏は悟りを開いた教師を、法はその仏が説いた真実の教えを、僧はその教えに従って修行する、調和のとれた出家者の集まりを指します。
三宝に帰依することが、仏教に入るための基本の条件です。3つの宝がどう関わり合うかについては、研究者のあいだで解釈が分かれてきました。それぞれ別のものとみる立場、一つの本質とみる立場、仏教の伝統を支えるものとみる立場などがあります。
密教には空海の系統の東密と、最澄の系統の台密がある
密教は、大日如来を本尊とする仏教です。諸尊をたたえる秘密の言葉である真言や陀羅尼を唱え、印契を結ぶところに特色があります。密教では、諸尊を大日如来が現れたものととらえます。その諸尊が集う様子を描いた図は曼荼羅と呼ばれ、金剛界と胎蔵界の2つを一組にしたものが両界曼荼羅です。
空海の流れをくむ密教は東密、最澄の流れをくむ密教は台密と呼ばれます。東密の「東」は東寺(教王護国寺)を、台密の「台」は天台宗を表しています。真言宗が密教だけを専ら修めるのに対し、天台宗は法華経と密教を並べて重んじる「顕密一致」の立場に立ちます。台密は、最澄の後を継いだ円仁、円珍、安然らによって発展しました。
輪廻と六道、無常と無我は生まれ変わりと執着をめぐる仏教用語
輪廻は、サンスクリット語のサンサーラから来た言葉で、生きものが何度も生まれ変わるという考えです。生まれ変わりは、インド哲学の大多数で根本の教義になっています。辞書では、三界と六道のあいだで生まれ変わり、死に変わりを繰り返すことと説明され、インドで業の思想と一体になって発達した考えとされます。
六道は、衆生が自分の業によって行き着く6つの世界で、天上界、人間界、修羅界、畜生界、餓鬼界、地獄界を指します。三界のほうは、欲界、色界、無色界の3つです。原始仏典では、天、人、畜生、餓鬼、地獄の五道を説くのが基本で、経典によってはここに阿修羅が加わります。
無我は、あらゆる事物は現象として生じているにすぎず、それを根拠づける変わらない本質はどこにもない、という意味の仏教用語です。無常、苦と並んで、仏教の三相(三法印)を形づくります。移り変わりを止められない現実のあり方は「諸行無常」と呼ばれます。執着が苦の原因になるとも説明されます。
日本に伝わったのは大乗仏教で、上座部系の仏教は南方へ広がった
釈迦の入滅は紀元前383年ごろとされ、弟子や信徒はその後、各地にサンガをつくって活動し、入滅からおよそ100年後には、保守派の上座部と改革派の大衆部に教団が割れました。
大乗仏教の成立について一般的な説明では、紀元前1世紀ごろ、出家した修行者が中心だった仏教を在家の人も含むものに改めようとする運動が大衆部から起こり、そこから大乗仏教が生まれたとされます。ただ、大乗の起源については学説の争いがあります。大衆部に加えて、説一切有部をはじめとする上座部系の思想も関わったとみる研究もあります。
大乗が強く説いたのは、大衆の救いを第一に置く菩薩の思想でした。自分ひとりの悟りにとどまらず、すべての衆生を悟りへ導くことを目指します。これに対して阿羅漢は、個人としての悟りの完成を目指す修行者がたどり着く段階として語られます。上座部系では戒律を重んじる僧院中心の仏教が発達し、大乗は在家の人を含めた広がりを大切にしました。
広まった地域も分かれています。大乗系の仏教は中国、朝鮮、日本、チベット、モンゴルなどへ伝わり、北方仏教と呼ばれます。上座系の仏教はスリランカ、タイ、ミャンマー、カンボジアなどへ伝わり、南方仏教と呼ばれます。日本が受け入れたのは、北方の大乗仏教です。
60代が老後の趣味で受ける仏教検定は3級の在宅試験から
60代で仏教検定を受けるなら、誰でも申し込める日本仏教協会の日本仏教検定3級が入り口です。
如来、菩薩、明王、天部の見分け方をもっと深めたい人は、仏像検定の試験内容と仏像鑑賞の楽しみ方をまとめた記事も読んでみてください。検定の今の実施状況もあわせて確かめられます。








