電験三種は定年後の独学でも転職に活かせる国家資格か

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電験三種は、電圧5万ボルト未満の設備を対象に保安監督を担う国家資格です。定年後に独学で取得し、ビルメンテナンス業界などへの転職やセカンドキャリアの足がかりにする人が増えています。合格率は8〜20%程度と決して易しい試験ではありませんが、科目合格制度をうまく使えば60代からでも十分に合格を狙えます。背景には、電気主任技術者の高齢化と保安対象設備の増加による深刻な人材不足があります。この記事では、電験三種の試験制度の中身、定年後からの独学合格の現実性、2026年度試験の最新スケジュール、そして取得後にどのような転職先や働き方が開けるのかを、公表されている数値を交えながら整理します。

目次

電験三種は電圧5万ボルト未満の設備を担う国家資格

正式名称は第三種電気主任技術者といい、電気事業法に基づく国家資格です。第一種・第二種と並ぶ電気主任技術者の資格のひとつで、電験三種が担当できるのは電圧5万ボルト未満の需要設備、および出力5千キロワット以上の発電所を除くほとんどの自家用電気工作物です。工場、ビル、商業施設、病院、学校、太陽光発電所など、対象となる設備は幅広く、電気が止まれば機能しなくなる施設の保安を一手に引き受ける立場になります。

試験は理論、電力、機械、法規の4科目で構成され、すべてマークシート方式です。各科目とも100点満点中60点程度が合格の目安とされ、4科目すべての合格が必要になります。ただし科目合格制度があり、一度合格した科目は3年間の有効期間内であれば免除されます。理論は直流回路や電磁気、交流回路などを扱い、計算問題が全体の8割以上を占めるため高校レベルの数学力が求められます。電力は発電・送配電・電気材料に関する分野です。機械は電動機や変圧器、パワーエレクトロニクスなど、4科目のなかでも特に難しいとされる分野です。法規は電気関係法規と電気設備の保安に関する事項が出題されます。理論はほかの3科目の基礎になる内容を含むため、最初に学習する科目とされています。合格率は例年8%から20%程度で推移しており、国家資格のなかでも難易度が高い部類に入ります。

経済産業省は2030年度に電験三種で約800人の不足を見込む

電験三種が定年後の資格として注目される背景には、深刻な人材不足があります。電気主任技術者の免状取得者はすでに高齢化が進んでおり、免状取得者の約6割が50歳以上、約4割が60歳以上という調査結果があります。一方で、電験二種・電験三種による保安が必要な電気設備の数は年々増加しており、2010年には約831,000件だったものが、2030年には約909,000件にまで増えると分析されています。経済産業省の将来推計では、2030年度に第二種電気主任技術者が約1,000人、第三種電気主任技術者が約800人不足する見込みです。

この需給ギャップを受けて、経済産業省は令和3年3月の告示改正で「保安管理業務講習」制度を整備しました。電験三種の免状を持っていれば、所定の講習を修了することで実務経験が十分でなくても主任技術者として選任される道が開かれています。資格さえ取れば実務未経験からでも現場に入りやすい制度設計に変わりつつあるということです。電気系の仕事に就いていなかった人が定年後に一念発起して資格を取り、第二の職業人生をスタートさせる動きを、この制度が後押ししています。

実際の求人市場でも、電験三種の求人の年齢層は幅広いことが確認できます。経済産業省の外部委託承認制度における外部委託従事者の年齢構成を見ると、60代が31%、70代以上が27%を占めています。求人サイトを見ても、電験三種を条件とする求人には年齢不問のものが多く、ビル管理、学校施設、医療施設、商業施設などの施設管理業務を中心に、60代を歓迎する求人が全国に数多く存在します。ある求人検索サイトの集計では、「電験三種・60代歓迎」の求人だけで300件を超える件数が確認できるということです。

定年後からの独学合格に必要な学習時間はおよそ1000時間

定年後からの独学合格は、十分に現実的な選択肢です。ただし相応の学習時間と計画性が前提になります。電験三種に必要な勉強時間の目安はおおむね1000時間とされています。すでに電気系の知識や実務経験がある人であれば500時間程度で足りるケースもありますが、電気の知識がまったくない初心者の場合は1000時間前後を見込んでおいたほうがよいでしょう。1000時間を1年間で達成しようとすると、平日は2時間程度、休日は4時間半程度の学習を1年間継続する計算になります。定年後で時間の融通が利く人であれば、現役時代よりもむしろ学習時間を確保しやすいという声もあります。

科目合格制度を活用すれば、一発合格を狙うよりも余裕を持った学習計画を立てられます。1000時間を4科目で割ると1科目あたり250時間が目安になりますが、1年ごとに1〜2科目ずつ合格を積み重ねていく計画であれば、半年あたりの必要学習量は250時間程度、1日あたり1時間半程度の学習で済む計算です。科目合格の有効期間は3年間なので、1年目に理論と電力、2年目に機械、3年目に法規というように、無理のないペースで挑戦し続けることも可能です。時間に余裕がある定年後の生活と、この「じっくり型」の学習戦略は相性がよいといえます。

独学のポイントは、まず基礎を固めること、良質な参考書と過去問題集を選ぶこと、苦手分野を重点的に補強することです。学習の順序は、他の科目の基礎理論を含む理論から着手し、続いて電力、機械、法規へと進めるのが定石です。過去問演習を繰り返して出題パターンをつかみ、計算問題への対応力を養うことが合格への近道になります。市販のテキストや問題集に加えて、無料の学習ブログやYouTube解説動画も充実してきており、通信講座を利用せずとも十分に合格を狙える環境が整っています。

2026年度試験はCBT方式と筆記方式を選んで申し込む

電験三種の試験は近年、受験機会の拡大が進んでいます。かつては年1回の筆記試験のみでしたが、現在はCBT方式(コンピューターを使った試験方式)も導入され、年に複数回受験できるようになりました。令和8年度試験からは申込時の試験方式の選択方法が変更され、CBT方式での受験を希望する場合は「CBT方式で受験」を、筆記方式を希望する場合は「筆記方式で受験」を選択したうえで試験地を選ぶ仕組みになっています。

2026年7月期の一次試験は、CBT方式が2026年7月16日(木)から2026年8月9日(日)までの期間内で受験者が都合の良い日を選べる方式で実施されています。この記事の執筆時点ではCBT方式の受験期間はまもなく終了しますが、筆記方式は2026年8月30日(日)に実施される予定です。CBT方式のメリットは、受験期間中であれば都合の良い日程を自分で選べること、そして試験の3日前までであれば試験日や会場の変更が可能な柔軟さにあります。注意点として、CBT方式を選ぶ場合は申込とは別にCBT会場と日時の予約が必要で、申込完了後、指定された予約期間内に予約をしないと受験自体ができなくなってしまいます。受験機会が増えたことで、科目合格制度と組み合わせた計画的な学習がこれまで以上にしやすくなっています。定年後に時間をかけてじっくり取り組みたい人にとっては、追い風となる制度変更です。

60代の学習は詰め込み型ではなく分散型のペースが向く

定年後、特に60代から電験三種に挑戦する場合、若い受験生と同じ勉強法をそのまま真似ると挫折しやすいという指摘があります。20代・30代の受験生に多い「休日は1日10時間猛勉強」といった詰め込み型の学習法を60代がそのまま実践すると、体調を崩して継続できなくなるリスクが高まります。60代の学習で重要になるのは、短期集中の瞬発力ではなく疲れないペースを維持する継続力です。具体的な工夫としては、午前中に1〜2時間、午後に1時間、夜に30分だけ復習するといったように、1日の学習を細切れに分散させるルーティンが効果的だという実践例が紹介されています。

電験三種の学習は短距離走ではなく1年単位の長いマラソンにたとえられます。体力や集中力の持続時間が若年層と異なるシニア世代には、若者と同じ戦い方は向きません。無理のないペース配分さえ守れば、60代からでも十分に合格を狙えるということでもあります。定年退職後や60歳を過ぎてから独学で電験三種の合格を目指し、ロードマップを公開している合格者の体験記も複数存在しており、金融機関など電気とは無関係の業界出身者が60歳を過ぎてから資格取得に挑戦し、合格を果たした例も報告されています。年齢を理由に諦めるより、自分の体力とライフスタイルに合った学習リズムを設計することが、60代からの独学合格の最大のポイントです。

教材は同じシリーズで揃えると理解の混乱を避けやすい

独学で合格を目指す場合、テキストと過去問題集選びが学習効率を左右します。初学者であれば基礎から丁寧に解説されているテキストを選び、すでにある程度学習が進んでいる場合は科目別に整理された教材を選ぶとよいでしょう。複数の教材を使う場合は、できるだけ同じシリーズで揃えることも重要です。異なる出版社のテキストを併用すると、用語や解法の説明の仕方が微妙に異なり、かえって混乱の原因になることがあります。

定番として紹介される教材には、基礎からわかりやすく解説する入門者向けのシリーズ、図解を多用してイメージで理解させるタイプのシリーズ、解説のレベルが高く中級者以上向けの完全マスター系のシリーズなどがあります。自分の現在の理解度に合わせて選ぶことが重要で、いきなり難易度の高いテキストに手を出すと、基礎が固まっていない段階でつまずいて挫折しやすくなります。過去問題集についても、10年分程度をまとめて収録したものや、科目別に年度をまたいで整理されたものなど複数のタイプがあり、直近の出題傾向を把握するうえで欠かせない教材です。電験三種を主催する一般財団法人電気技術者試験センターの公式サイトでは、過去の試験問題がPDF形式で無料公開されており、教材購入前の力試しや追加の演習素材として活用できます。定年後で書店に足を運ぶ時間に余裕がある人は、実際に手に取って自分の目でレベル感を確認したうえで購入するテキストを決めるとよいでしょう。

電験三種を持つ電気主任技術者の平均年収は400万円から500万円

電験三種を取得した後、定年後の転職先として代表的なのはビルメンテナンス業界、施設管理業界です。オフィスビル、商業施設、病院、学校、マンションなどには受変電設備が必ず存在し、その保安監督者として電気主任技術者の選任が法律で義務付けられています。企業によっては社員として電気主任技術者を雇用するケースもあれば、外部委託承認制度を利用して外部の電気管理技術者に保安業務を委託するケースもあります。いずれにしても、電験三種の資格保有者に対する需要は底堅いといえます。

求人動向を見ると、電験三種を条件とする求人では「年齢不問」「経験不問可」といった記載が目立ち、実務未経験からでもチャレンジできる求人が一定数存在します。実務経験がある方が有利であることも事実で、実務経験10年以上といった条件を満たす人材であれば、定年後の再雇用制度や嘱託職員制度を通じて60歳以降も継続して働ける道が開けやすくなります。定年退職後にゼロから電験三種を取得し、実務未経験で転職市場に出る場合は、まずは非常勤や嘱託、パートタイムのビル設備管理職からキャリアをスタートし、実務経験を積みながらステップアップしていくルートが現実的です。

給与面では、電験三種を持つ電気主任技術者の平均年収はおよそ400万円から500万円程度とされ、350万円から500万円という幅で紹介されることもあります。資格手当は月額1万円程度が相場で、毎月支給の場合は月額5,000円から1万5,000円程度、年間では6万円から18万円程度の収入アップが見込めます。実際の年収は勤務先の業界や企業規模、担当職種、雇用形態、勤務地域、年齢や実務経験年数といった要素によって大きく変動します。定年後の再雇用や嘱託雇用の場合はフルタイム正社員時代より年収水準が下がることが一般的ですが、資格手当や専門性の高さによって、同世代の他業種の再雇用者よりも良い条件を得られるケースも少なくありません。

実務経験5年で電気管理技術者として独立する道が開ける

電験三種取得後のキャリアは、企業に雇用される形だけではありません。個人事業主の「電気管理技術者」として独立する道もあります。独立するためには、電験三種などの資格を取得したうえで、電気主任技術者としての実務経験がおおむね5年以上必要です。実務経験が不足している場合でも、後述する保安管理業務講習を活用することで、必要な経験年数を補える制度が整備されています。個人の電気管理技術者が担当できる設備規模には上限があり、電気事業法上の換算係数による点数制で、個人の場合は合計33点までという制約がある点は押さえておく必要があります。

独立開業には測定器などの機材購入費用も必要で、一定の初期投資を要しますが、経験と実績を積んだ電気管理技術者のなかには、独立後に年収1000万円規模を実現している例も紹介されています。定年後に企業へ再雇用されるだけでなく、経験を積んだうえで独立し、自分のペースで複数の顧客先を受け持つという働き方は、体力面・時間面での自由度を求めるシニア世代にとって魅力的な選択肢のひとつです。

保安管理業務講習で実務経験の年数が3年に短縮される

保安管理業務講習は、電験三種または電験二種の免状を持ちながら実務経験が不足している人にとって、実務未経験からのキャリアチェンジを後押しする制度です。この講習を修了することで、自家用電気工作物の保安管理業務に必要とされる実務経験の年数が、従来の4年または5年から一律3年に短縮される仕組みになっています。

講習の内容は、自家用電気工作物の保安管理業務に関する講義と実技で構成されており、電気の基礎、関係法令、月次点検・年次点検の理論などを複数日にわたる座学で学んだうえで、実技講習を1日程度受講する形が一般的です。主催しているのは各地域の電気保安協会や日本テクノ、日本エネルギー管理センターといった団体で、全国各地で定期的に開催されています。定年後に未経験から電験三種を活かした仕事に就こうとする場合、この講習を受講しておくことで実務経験の壁を実質的に低くし、より早い段階で電気主任技術者として選任される道を開くことができます。独学で資格を取得した後の具体的な次のステップとして、この講習の存在は覚えておく価値があります。

ビルメンテナンス業界は電験三種とシニア世代の相性がよい

電験三種を活かした転職先として、ビルメンテナンス業界は特に相性がよいとされています。ビルメンテナンスの仕事は、オフィスビルや商業施設など大規模建築物における設備管理、衛生管理、警備・防災業務などを担い、建物を利用する人々が快適に過ごせる環境を維持しながら、不動産としての資産価値を保全する役割を担います。電験三種のような専門資格を持つ人材は、施設内の受変電設備の保安管理という重要な業務を任されやすく、資格手当や求人の選択肢という面で有利に働きます。

ビルメンテナンス業界がシニア世代のセカンドキャリアとして選ばれるのは、体力的な負担が比較的少ない業務が多いためです。シニア歓迎、65歳以上の再雇用可という求人が多数存在し、週休2日制や有給休暇制度を整備する企業が増えていることも、プライベートとの両立を後押ししています。年収水準はおおむね300万円から600万円程度とされ、経験や企業規模、担当業務によって幅があります。未経験からの転職も可能ですが、電験三種のような専門資格を保有していると、採用選考や待遇面で明確に有利になります。定年退職後、まったく異なる業界からビルメンテナンス業界へ転身する例も少なくなく、電験三種はそのための強力な入場券として機能しています。

電験三種取得には計算問題への対応力が最大の壁になる

良いことばかりではありません。電験三種は合格率8〜20%程度という難関資格であり、生半可な気持ちでは合格できません。計算問題の比重が高く、高校数学レベルの学力が要求されるため、数学から長く離れていた人にとっては基礎固めに相応の時間がかかります。科目合格の有効期間は3年間であるため、学習ペースが極端に遅いと、先に合格した科目の効力が切れてしまい、再度その科目を勉強し直す羽目になることもあります。計画的なスケジュール管理が欠かせません。

資格を取得しても、実務未経験の状態からいきなり高待遇の求人に採用されるとは限りません。多くの場合、まずは経験を積むための入り口としての求人からスタートし、数年かけて経験と信頼を積み上げていく必要があります。定年後に取得する場合は、体力的な負担がある屋外設備の巡回点検業務などが含まれる求人もあるため、自分の体力や希望する働き方に合った求人を見極めることも重要です。CBT方式の普及によって受験機会は増えましたが、申込とは別にCBT会場や日時の予約が必要になるなど、手続き面での細かい注意点もあるため、試験センターの公式情報を都度確認しながら準備を進める必要があります。

通信講座は4万円から30万円で教育訓練給付金の対象講座もある

ここまで独学での合格を前提に解説してきましたが、独学以外の選択肢として通信講座の活用も検討する価値があります。電験三種の通信講座の料金相場はおおむね4万円から30万円程度と幅があります。大手通信教育のユーキャンは74,000円程度、技術系資格に特化したSATはWEB講義でありながらテキストや講師の質が高く、合格者からの評価も高いとされています。独学では理解しにくい内容であっても、通信講座であれば添削や質問対応といったサポート体制が整っているため、初めて電気を学ぶ人や独学での挫折が不安な人にとっては有力な選択肢になります。電験三種は独学だけでは難しく、合格率も10%を切ることがある難関資格だという厳しい見方をする専門家もいます。定年後で書籍代・受講料に一定の予算を割ける場合は、独学と通信講座を併用する、あるいは苦手科目だけ通信講座で補強するといったハイブリッドな学習スタイルも現実的な選択肢です。

通信講座を選ぶ際に見逃せないのが公的な給付金制度の存在です。厚生労働省の教育訓練給付金制度は、要件を満たす講座を受講した場合に受講費用の一部が支給される仕組みで、基本は受講費用の40%(上限20万円)が講座修了後に支給されます。さらに、目標としていた資格を取得したうえで、修了日の翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として就職した場合、または在職のまま資格を取得した場合には、追加で10%が支給され、合計で最大50%(上限25万円)の給付を受けられる制度になっています。電験三種の講座のなかにも、この教育訓練給付制度の対象となっている講座があり、e-DENの電験三種対策講座は受講料の40%が返還される特定一般教育訓練給付制度の対象講座として紹介されています。定年退職後であっても、離職から一定期間内(延長により最長20年まで対象となるケースもある)に受講を開始すれば給付の対象になり得るため、対象講座かどうかを確認したうえで受講を検討する価値は大きいといえます。あわせて、定年退職によって離職した場合も雇用保険の基本手当を受給できるケースがあり、給付日数を3分の1以上残して再就職した場合には再就職手当として、基本手当日額に支給残日数と給付率(50%・60%・70%のいずれか)を掛けた金額を受け取れる制度もあります。これらの公的支援制度を組み合わせることで、定年後の学び直しや転職活動にかかる経済的負担を大きく軽減できる可能性があります。

太陽光発電などの再生可能エネルギー分野で需要が拡大している

電験三種の活躍の場は、従来型のビルや工場だけにとどまりません。近年急速に拡大しているのが太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー分野です。太陽光発電設備の設置工事や保安管理には、電気工事士、電気主任技術者、認定電気工事従事者といった資格が必要で、設備の規模によって求められる資格が異なります。2012年に固定価格買取制度が導入されて以降、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー発電所は日本各地で急速に増加しており、エネルギー基本計画に基づく試算では、今後も再エネ設備は年間約2000件のペースで増加していく見込みです。

こうした再エネ設備の多くは電験三種の保安監督範囲に該当する規模であり、資格保有者への需要は今後さらに高まっていくと見込まれています。電気主任技術者の資格保有者はすでに高齢化が進んでおり、今後退職していく人材の数も増えていくため、再生可能エネルギー業界における新規の電験三種取得者への期待は一段と大きくなっています。定年後に電験三種を取得する人にとって、こうした成長分野は都市部のビル管理業務だけでなく、地方の太陽光発電所などでの保安管理業務という新しい選択肢が広がっていることを意味しており、働く場所や働き方の自由度という点でも追い風になっています。

独学の孤独感は学習コミュニティの活用で和らげられる

独学は自分のペースで進められる反面、孤独な学習になりがちで、途中で挫折してしまうリスクも小さくありません。この課題を補う手段として、社会人向けの自主学習会や勉強コミュニティを活用する人も増えています。2017年から社会人向けの自主学習会を続けている団体では、東京都内の各所で対面の勉強会を開くほか、オンラインでもほぼ毎日のように学習会を開催し、ブログやSNSを通じて情報共有を活発に行っています。こうした場に参加することで、同じ目標を持つ仲間と進捗を確認し合ったり、疑問点をその場で相談したりでき、独学特有の孤独感を和らげながら学習を継続しやすくなります。

資格予備校のなかには「女子応援割」「シニア応援割」といった、女性や高齢の受験生を後押しする割引制度を用意しているところもあり、通学講座やオンライン講座、通信講座を柔軟に組み合わせて、繰り返し授業を復習できる仕組みを整えている事業者も見られます。定年後に電験三種の学習を始める場合、こうした学習コミュニティや割引制度の存在を知っておくことで、モチベーションを維持しながら無理なく学習を続けやすくなるでしょう。

電験三種は定年後の人生に手に職を与える資格になる

電験三種は、定年後のセカンドキャリアを見据えたときに相性のよい国家資格です。背景には電気主任技術者の高齢化と、保安対象設備の増加による深刻な人材不足があり、経済産業省も講習制度の整備などを通じて資格取得者が現場に入りやすい環境づくりを進めています。独学での合格には1000時間前後の学習が必要とされる難関資格ですが、科目合格制度をうまく活用すれば、時間に余裕のある定年後の生活のなかで無理なく合格を目指せます。2026年度からはCBT方式の申込方法が変更されるなど受験機会の柔軟化も進んでおり、学習計画は立てやすくなっています。

取得後は、ビルメンテナンスや施設管理業界を中心に年齢不問の求人が多数存在し、60代・70代でも現役で活躍している電気主任技術者は少なくありません。実務経験を積めば、企業への再雇用や嘱託雇用だけでなく、電気管理技術者として独立し、年収1000万円規模を目指すことも視野に入ります。合格率の低さや実務未経験からのスタートの難しさといった現実的なハードルはありますが、計画的に学習を積み重ね、資格取得後も着実に経験を重ねていけば、電験三種は定年後の人生に長く安定した手に職を与えてくれる資格だといえます。

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