公認心理師の受験資格において、60代で実務経験がない方がGルート(現任者ルート)を利用することはできません。Gルートは2022年7月17日の第5回公認心理師試験をもって完全に終了しており、今後復活する見込みもない状況です。さらに、Gルートはそもそも週1日以上かつ通算5年以上の心理職としての実務経験が必須の制度であったため、実務経験がない方はGルートが存続していた時期であっても受験資格の対象外でした。
現在、60代で実務経験がない方が公認心理師を目指す場合は、通信制大学や通学制大学で所定の科目を履修した後に大学院で学ぶ「通常ルート」を選択する必要があります。公認心理師試験には年齢制限がないため、所定の要件を満たせば何歳であっても受験することが可能です。定年退職後のセカンドキャリアとして心理職に関心を持つ方が増えている中、この記事では公認心理師の受験資格の全体像からGルートの制度内容と終了の経緯、そして60代で実務経験がない方が現実的に資格取得を目指すための具体的な選択肢と課題について詳しく解説していきます。

公認心理師とは?60代からでも取得を目指せる国家資格
公認心理師とは、2017年9月15日に施行された公認心理師法に基づいて創設された、日本で初めての心理職における国家資格です。それまで心理職の資格としては臨床心理士などの民間資格しか存在していませんでしたが、公認心理師の誕生により、心理支援を行う専門職として国が正式に認める資格制度が整いました。
公認心理師の業務は大きく4つに定められています。1つ目は、心理に関する支援を要する者の心理状態の観察と分析です。クライアントの心理的な状態を専門的に把握し、適切なアセスメントを行います。2つ目は、心理に関する支援を要する者に対する相談、助言、指導、その他の援助です。カウンセリングや心理療法を通じて、問題の解決や心理的な改善を支援します。3つ目は、支援を要する者の関係者に対する相談や助言です。本人だけでなく、その家族や関係者への支援も重要な業務となっています。4つ目は、心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供です。広く一般に向けた啓発活動も公認心理師の大切な役割です。
公認心理師試験には年齢制限がありません。 60代であっても70代であっても、所定の受験資格を満たせば受験することができます。年齢を理由に受験を諦める必要はなく、意欲と計画性があれば資格取得への道は開かれています。
公認心理師の活躍分野と年収の目安
公認心理師の活躍の場は非常に幅広く、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の5つの分野にまたがっています。
保健医療分野では、精神科病院や心療内科クリニック、一般病院、保健所、精神保健福祉センターなどが主な勤務先で、公認心理師全体の約24.1%がこの分野で勤務しています。福祉分野では、児童相談所や障害児通所支援事業所、児童福祉施設、高齢者施設などで活躍しており、全体の約24.7%を占めています。教育分野では、学校のスクールカウンセラーや教育相談センターなどが主な職場です。産業・労働分野では、企業の人事部門や従業員支援プログラム(EAP)などに関わる仕事が中心で、全体の約5.6%が従事しています。司法・犯罪分野では、家庭裁判所や少年院、刑務所などでの心理支援業務を行っており、約3.9%がこの分野で活動しています。
公認心理師の平均年収は約433万円とされています。常勤の場合は400万円から500万円程度が一般的ですが、非常勤の場合は200万円から300万円程度です。大学や研究所で活動する公認心理師の中には、1,000万円を超える年収を得ている方もいます。
公認心理師と臨床心理士の違い
公認心理師について調べると、「臨床心理士」との違いが気になる方も多いのではないでしょうか。両資格の違いを整理しておきます。
| 項目 | 公認心理師 | 臨床心理士 |
|---|---|---|
| 資格の種類 | 国家資格 | 民間資格(日本臨床心理士資格認定協会) |
| 更新制度 | なし(一度取得すれば永続) | 5年ごとの更新が必要 |
| 養成課程 | 学部4年+大学院2年(または実務経験) | 主に大学院修士課程2年 |
最も大きな違いは資格の位置づけです。公認心理師は国家資格であるのに対し、臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。国家資格は法律に基づいて国が認定するものであり、社会的な信頼性という点では公認心理師に優位性があるといえます。
更新制度にも違いがあります。公認心理師は一度取得すれば更新の必要がありませんが、臨床心理士は5年ごとの資格更新が義務付けられています。受験資格の取得方法も異なり、臨床心理士は主に大学院修士課程の2年間で養成されますが、公認心理師は学部4年間で心理学の基礎を学んだ上で、大学院での学習か実務経験が必要です。
実際の仕事内容については、両者に大きな差はありません。ただし傾向として、公認心理師は心の健康について教育や情報提供を行うことに重点を置き、臨床心理士は心理に関する研究とその成果の発表に力を入れる傾向があるとされています。
今後の展望として、医療機関では公認心理師資格が必須になる可能性があります。 現在は公認心理師を持たずに心理職として勤務していた方にも診療報酬上のみなし規定がありますが、これは一時的な措置です。長期的には公認心理師資格の重要性がさらに高まると考えられています。
公認心理師の受験資格と全ルートの概要
公認心理師試験の受験資格は、「通常ルート」と「経過措置ルート」の2つに大きく分類されます。通常ルートにはA、B、Cの3区分があり、経過措置ルートにはD1、D2、E、F、Gの5区分があります。
通常ルートとして、まず区分A(大学+大学院ルート)は最も一般的なルートです。4年制大学で公認心理師法に定められた25の心理学関連科目を履修し卒業した後、大学院で10の指定科目を履修し修了する必要があります。最短でも6年間の学習期間が必要です。区分B(大学+実務経験ルート)は、4年制大学で所定の科目を履修し卒業した後、文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定する施設で2年以上の実務経験を積むルートです。指定施設は限られているため、実務経験を積む場所を見つけることが課題となります。区分C(海外大学ルート)は、海外の大学と大学院で心理学に関する科目を修めた方を対象としています。
経過措置ルートとして、区分D1とD2は2017年9月15日より前に大学院に入学または修了していた方を対象とするルートです。区分Eは同日より前に大学に入学し、所定の科目を履修して卒業後に大学院を修了した方を対象としています。区分Fは同日より前に大学に入学し、卒業後に指定施設で2年以上の実務経験を積んだ方が対象です。そして区分G(現任者ルート、Gルート)は、2022年7月17日の第5回試験をもって終了しました。
Gルート(現任者ルート)とは何だったのか
Gルートとは、公認心理師法が施行された2017年9月15日から5年間限定で設けられた経過措置の受験区分です。「現任者ルート」とも呼ばれ、すでに心理職として実務に携わっていた方々が、大学や大学院に通い直すことなく受験資格を得られる特別な制度でした。Gルートでの受験は第1回試験(2018年)から第5回試験(2022年7月17日)までの5回にわたって実施され、第5回試験をもって予定通り終了しました。
Gルートの受験資格に必要だった条件
Gルートの受験資格を得るためには、2つの条件を同時に満たす必要がありました。1つ目の条件は、施行規則で定められた施設において週1日以上、通算5年以上の心理職としての実務経験があることです。2つ目の条件は、2012年9月16日から2017年9月15日までの5年間のうちに心理職として業務に従事していた期間があることです。つまり、法律の施行日から遡って5年以内に心理職として働いていた経験が求められました。
さらに、これらの条件を満たした上で、公認心理師現任者講習会を受講し修了することが義務付けられていました。この講習会は30時間程度の内容で、受講料は40,000円(税込)でした。講習内容には、公認心理師の職務上の責任に関すること、保健医療・福祉・教育・産業労働・司法犯罪の各分野の法規や制度、そして医学に関する基礎知識が含まれていました。
Gルートの合格率と難易度
Gルートの合格率は、他のルートと比較して低い傾向にありました。各回の結果を見ると、その傾向は明らかです。
| 回 | 実施年 | Gルート合格率 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2018年 | 43.7% |
| 第2回 | 2019年 | 41.8% |
| 第3回 | 2020年 | 50.0% |
| 第4回 | 2021年 | 55.7% |
| 第5回(最終回) | 2022年 | 47.1% |
50%を切る年が多く、半数近くの受験者が不合格となっていたことがわかります。これに対して、大学院修了者が多い区分Aの合格率は、第7回試験で90.1%、第8回試験で78.9%と高い数値を記録しています。
Gルートの合格率が低かった主な理由としては、体系的な心理学教育を受けていない受験者が多かったことが挙げられます。通常ルートでは大学と大学院で心理学の基礎から応用まで体系的に学びますが、Gルートの受験者は実務経験を中心とした知識が主であり、学術的な基盤が不十分な場合がありました。また、仕事と受験勉強の両立が困難だったことも大きな要因です。Gルートの受験者の大半は現職の心理職従事者であり、日々の業務をこなしながら試験勉強の時間を確保することが非常に難しい状況にありました。
Gルートに対する批判と問題点
Gルートは制度運用中から様々な批判を受けていました。心理学教育の不足という点では、Gルートの対象者の中には心理学を十分に学んでいない方も含まれており、実務経験と講習会受講のみで受験資格が得られたため、専門的な教育基盤に差が生じていました。
実務経験の質のばらつきも問題視されていました。指定施設内の職業であっても実際の業務内容は多岐にわたり、心理的支援を主業務としていた方もいれば、心理的支援は業務の一部に過ぎなかった方もおり、経験の質に大きな差がありました。
さらに、審査基準の甘さに対する指摘もありました。施行規則附則第6条で定める施設の基準が広範であったことや、実務経験が週1回以上で通算5年というハードルが比較的低かったことが批判の対象となりました。資格の信頼性への影響を懸念する声もあり、心理学の体系的な教育を受けていない方が国家資格を取得することで、公認心理師全体の資格としての信頼性が損なわれるのではないかという議論がありました。
こうした批判がありながらも、Gルートは法律で定められた5年間の経過措置として最後まで運用され、2022年の第5回試験をもって予定通り終了しました。
Gルート終了後の公認心理師試験の現状(2026年時点)
Gルートは2022年7月17日の第5回公認心理師試験で終了しており、現在はGルートでの受験申込はできません。 これは復活の見通しがない終了です。
2025年3月2日に実施された第8回公認心理師試験では、受験者数2,174人のうち合格者は1,454人で、合格率は66.9%でした。合格点は134点(58.3%)と発表されました。
第9回公認心理師試験は2026年3月1日(日)に実施される予定です。受験申込の受付期間は2025年12月1日から2025年12月26日まででした。ただし、この試験を受験するためには、現在有効な受験資格(区分A、B、C、D1、D2、E、F)のいずれかを満たしている必要があります。
60代・実務経験なしの方が公認心理師の受験資格を得る方法
60代で心理職の実務経験がない方が公認心理師を目指す場合、利用できるルートは限られていますが、道がないわけではありません。公認心理師の受験資格に年齢制限はないため、所定の要件を満たせば何歳であっても受験が可能です。Gルートが終了した現在、実務経験がない方が現実的に検討できる選択肢は主に3つあります。
区分Aルート(大学+大学院ルート)で受験資格を取得する方法
区分Aルートは、4年制大学で公認心理師に対応した心理学の科目を履修し卒業した後、大学院で所定の科目を履修し修了するルートです。60代の方にとって最も現実的な選択肢の一つといえます。
すでに4年制大学を卒業している方は、心理学系の大学に3年次編入し、2年間で必要な科目を履修した後、大学院に進学して2年間学ぶことで、最短4年程度で受験資格を得ることができます。大学卒業資格がない場合は、大学に1年次から入学する必要があるため、最短でも6年間が必要です。
区分Bルート(大学+実務経験ルート)という選択肢
区分Bルートは、4年制大学で所定の科目を履修し卒業した後、指定施設で2年以上の実務経験を積むルートです。大学院に通う代わりに実務経験を積む形になりますが、指定施設での就職が必要となるため、60代の方にとっては大学院ルートよりもハードルが高い場合があります。
経過措置ルート(D、E、F)の可能性
2017年9月15日より前に心理学系の大学や大学院に在籍していた経歴がある場合は、経過措置ルートを利用できる可能性があります。ただし、これは過去の学歴によって利用の可否が決まるため、該当する方は限られます。自身の学歴が経過措置に該当するかどうか、日本心理研修センターに確認することをおすすめします。
通信制大学を活用した公認心理師の受験資格取得
60代の方が公認心理師の受験資格取得を目指す場合、通信制大学の活用が現実的な選択肢の一つです。通学の負担を軽減しながら、自分のペースで学習を進められるため、セカンドキャリアを目指す方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
公認心理師対応のカリキュラムを提供している通信制大学としては、まず放送大学が挙げられます。放送大学は全国展開しており、テレビやラジオ、インターネットを通じた学習が中心です。スクーリングが週末に設定されていたり、科目修了試験がオンラインで受けられるなど、仕事や生活と両立しやすい環境が整っています。全国の学習センターを利用できる点も大きな利点です。ただし、放送大学だけでは受験資格は完結せず、大学院での学習か実務経験も別途必要となります。
そのほか、聖徳大学(千葉)は通信教育課程で公認心理師対応のカリキュラムを提供しています。京都橘大学(京都)も通信教育で公認心理師に必要な科目を学ぶことができます。東京福祉大学は東京、群馬、名古屋にキャンパスがあり、通信教育課程を設けています。
注意点として、大手前大学の通信教育部は「認定心理士」には対応していますが、「公認心理師」の受験資格には対応していません。 公認心理師を目指す場合は、対応大学を正しく選ぶことが非常に重要です。
通信制大学で学部の科目を修了した後は、大学院での学習が必要です。通信制大学院で公認心理師に対応しているところは現時点では限られているため、通学制の大学院への進学を視野に入れる必要があります。また、心理演習や心理実習などの一部科目についてはスクーリング(対面授業)が必要です。特に心理演習のスクーリングは受講者数が限られている大学が多く、希望通りに受講できない場合もあることを念頭に置いておく必要があります。
60代から公認心理師を目指す際の現実的な課題
60代で公認心理師の資格取得を目指す際には、いくつかの現実的な課題を事前に認識しておくことが重要です。
第1の課題は取得までにかかる時間です。大学編入から始める場合でも最短4年、大学1年次からの場合は最短6年がかかります。60歳から始めた場合、資格取得は早くても64歳から66歳以降になります。長期にわたる学習計画を立て、継続して取り組む覚悟が必要です。
第2の課題は学費の負担です。通信制大学は通学制と比較して学費が低く抑えられていますが、4年間の学部教育と2年間の大学院教育を合わせると、相応の費用が必要です。放送大学の場合、1科目あたりの授業料は比較的安価ですが、必要な科目数を考えると全体としてはまとまった金額になります。
第3の課題は学習量の多さです。公認心理師試験の出題範囲は非常に広く、心理学の基礎知識に加え、臨床心理学、発達心理学、社会心理学、神経心理学、実験心理学など多岐にわたります。試験の合格には250時間から450時間程度の勉強時間が必要とされており、日々の生活の中でこの学習時間を確保することが求められます。
第4の課題は実習先の確保です。公認心理師のカリキュラムには実習が含まれており、この実習先を見つけることが難しい場合があります。特に地方在住の方や通学が困難な方にとっては大きなハードルとなる可能性があります。
第5の課題は資格取得後の就職です。公認心理師の資格を取得できたとしても、60代後半から70代での就職は容易ではありません。ただし、心理カウンセリングは人生経験が豊富なシニアの方が強みを発揮できる分野でもあり、独立開業という選択肢もあります。
60代で公認心理師を目指すメリット
課題がある一方で、60代から公認心理師を目指すことには独自のメリットもあります。
最大の強みは豊富な人生経験です。カウンセリングでは、クライアントの話を傾聴し、共感的に理解することが重要です。長年の社会経験や人生経験を通じて培われた洞察力やコミュニケーション能力は、若い世代にはない大きなアドバンテージとなります。実際に、定年退職後に心理カウンセラーとして新たなキャリアをスタートさせる方も増えています。
時間的な余裕がある点も大きな利点です。定年退職後であれば、フルタイムの仕事に縛られることなく、学習に集中できる時間を確保しやすくなります。通信制大学での学習と並行して、自分のペースで知識を深めていくことが可能です。
さらに、社会貢献への意欲が高い時期であることもメリットです。60代はこれまでの経験を活かして社会に還元したいという気持ちが強くなる時期です。公認心理師として人々の心の健康を支援する仕事は、そうした社会貢献の意欲を満たしてくれるものです。
近年は心の健康への社会的関心が高まっており、公認心理師の需要は増加傾向にあります。医療機関以外でも心理職の活躍の場が広がっており、企業のメンタルヘルス対策や学校でのカウンセリング、高齢者施設でのケアなど、多様な領域で公認心理師が求められています。
公認心理師試験の出題範囲と合格基準
公認心理師試験の内容についても把握しておくことは、資格取得を目指す上で重要です。
試験はマークシート方式で行われ、約150問から200問程度が出題されます。試験時間は午前と午後に分かれており、合計で約4時間から5時間程度です。
出題範囲は非常に広範で、ブループリント(公認心理師試験出題基準)に基づいて出題されます。心理学の基礎として知覚、認知、学習、記憶、感情、動機づけなどの分野が問われます。臨床心理学では心理療法の理論と技法や心理アセスメントが出題範囲に含まれます。発達心理学では乳幼児期から老年期までの発達過程について理解が求められます。そのほか、社会心理学として集団心理や対人関係、神経心理学・生理心理学として脳と行動の関係、心理統計学・研究法、精神医学の基礎知識、公認心理師法をはじめとする関係法規、そして保健医療・福祉・教育・産業労働・司法犯罪の各分野の制度と事例も出題されます。
合格基準は原則として総得点の60%程度ですが、年度によって若干の変動があります。2025年3月に実施された第8回試験では合格点が134点(58.3%)でした。
試験対策としては、過去問題を繰り返し解くことが最も効果的とされています。過去3年分の問題を最低2周、できれば3周解くことが推奨されています。ブループリントを確認して出題傾向を把握し、効率的に学習を進めることが重要です。勉強時間の目安としては250時間から450時間程度が必要とされており、計画的な学習スケジュールを立てることが合格への近道です。
公認心理師以外の心理系資格という選択肢
公認心理師の取得には長い時間と費用がかかるため、60代の方が心理分野で活動するための別の選択肢について知っておくことも大切です。
認定心理士は、日本心理学会が認定する資格で、大学で心理学の基礎を学んだことを証明するものです。公認心理師ほどの学習期間は必要ありませんが、学士レベルの資格であり、専門的な心理支援を行うための資格としては限定的な面があります。
メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所が実施する検定試験で、職場のメンタルヘルスケアに関する知識を問うものです。比較的短期間で取得でき、企業でのメンタルヘルス対策に役立ちます。
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する資格で、職場における心理的支援を行う専門家です。養成講座を受講し、試験に合格することで取得できます。
こころ検定は、文部科学省が後援する検定試験で、心理学の基礎知識を測定するものです。1級から4級まであり、段階的に学習を進めることができます。
これらの資格は公認心理師と比較すると取得しやすく、心理分野での活動の第一歩として有効です。特に60代でこれから心理分野に関わりたいと考えている方にとっては、まずこれらの資格から始めて心理学の基礎を学び、その後に公認心理師を目指すかどうかを判断するという段階的なアプローチも一つの方法です。
実務経験なしの方がGルートを検討していた場合の注意点
Gルートを利用して公認心理師の受験資格を得ようと考えていた方に向けて、重要な点を改めて整理しておきます。
Gルートは2022年7月17日の第5回試験で完全に終了しており、今後復活する見込みはありません。 また、Gルートはそもそも実務経験が必須の制度でした。週1日以上、通算5年以上の心理職としての実務経験がなければ受験資格は得られませんでした。さらに、2012年9月16日から2017年9月15日までの間に心理職として業務に従事していた期間があることも条件でした。この期間に心理職として働いていなかった場合は、いくら長い実務経験があっても受験資格は認められませんでした。
つまり、60代で実務経験がない方にとって、Gルートは元々利用できない制度でした。 現在公認心理師を目指すのであれば、通常ルート(区分Aまたは区分B)を通じて受験資格を取得する必要があります。
まとめ
公認心理師は日本で唯一の心理職の国家資格として、今後ますます重要性が高まっていく資格です。Gルート(現任者ルート)は2022年に終了しており、現在は利用できません。
60代で実務経験がない方が公認心理師を目指す場合、通信制大学や通学制大学で学部の科目を履修し、さらに大学院で学ぶという通常ルートを選択する必要があります。取得までには最短でも4年から6年程度の期間がかかりますが、年齢制限はないため、意欲があれば挑戦することは十分に可能です。
60代という年齢は、豊富な人生経験を活かせるという大きな強みがあります。カウンセリングの現場では、人生経験に裏打ちされた深い共感力や洞察力が求められるため、シニア世代ならではの価値を発揮できる分野です。
一方で、長期間の学習や学費の負担、実習先の確保、資格取得後の就職といった現実的な課題も存在します。これらを総合的に検討した上で、自分にとって最適な道を選択することが大切です。公認心理師だけが心理分野で活動するための唯一の道ではなく、認定心理士やメンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーなど、比較的取得しやすい資格から始めることも有効な選択肢です。いずれの道を選ぶにしても、心理学を学び、人々の心の健康に貢献したいという志を持って、自分の状況に合った方法で一歩ずつ前進していくことが重要です。









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