定年後に公認心理師資格を取得するには?受験資格と実務経験を解説

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定年後に公認心理師の資格を取得することは可能です。ただし、受験資格を得るためには大学および大学院での心理学履修、または大学卒業後に認定施設での実務経験が必要となり、最短でも5〜6年の学習期間を要します。かつて存在した実務経験5年のみで受験できる移行措置ルートは既に終了しているため、現在はこれから心理学を学び始める方も正規のルートを経る必要があります。

定年後のセカンドキャリアとして心理職への転身を考える方が増えています。長年培ってきた人生経験や社会経験は、人の心に寄り添う仕事において大きな強みとなります。公認心理師は2017年に創設された日本初の心理職国家資格であり、医療、福祉、教育、産業、司法など幅広い分野で活躍できます。本記事では、定年後から公認心理師資格の取得を目指す方に向けて、受験資格の要件、実務経験の条件、具体的な取得ルート、費用や期間について詳しく解説していきます。通信制大学の活用方法や、資格取得後の働き方についても触れていますので、セカンドキャリアの選択肢として検討されている方はぜひ参考にしてください。

目次

公認心理師とは何か

公認心理師は、2017年に施行された公認心理師法に基づいて創設された、日本で初めての心理職に関する国家資格です。心理学に基づく専門的な知識と技術を持ち、人々の心の健康をサポートする専門職として位置づけられています。2025年3月末時点で、全国で73,743人が公認心理師として登録されており、社会的なニーズの高まりとともに登録者数は増加傾向にあります。

公認心理師の業務は公認心理師法第2条に定められています。1つ目の業務は心理的アセスメントで、心理検査や心理面接などを通じて支援を必要とする方の心理状態を観察し、その結果を分析することで適切な支援方法を検討します。2つ目は心理カウンセリングや心理療法であり、心理に関する相談に応じて助言、指導、その他の援助を行います。うつ病や不安障害に苦しむ方のサポート、家庭や学校でのストレスに悩む子どもたちのカウンセリングなど、活動範囲は多岐にわたります。3つ目は関係者への支援で、支援を必要とする方の家族などに対して相談や助言を行います。4つ目は心の健康に関する教育や情報提供であり、心の健康に関する知識の普及活動を担います。

公認心理師の活躍分野と年収の実態

公認心理師は様々な分野で活躍しています。厚生労働省の調査によると、福祉分野が約24.7%、保健医療分野が約24.1%と最も多くの割合を占めています。保健医療分野では精神科病院や診療所、一般病院、保健所、精神保健福祉センターなどが主な勤務先となり、精神健康の問題を抱える患者に対する診断支援やカウンセリング、治療支援が主な業務です。福祉分野では児童相談所、障害児通所支援事業所、児童福祉施設などで子どもや障害を持つ方への支援を行います。

教育分野ではスクールカウンセラーとして小中学校や高等学校に勤務し、児童生徒の心理的サポートを担当します。不登校やいじめ、発達に関する相談など教育現場特有の問題に対応します。司法・犯罪分野は約3.9%で、少年鑑別所、少年院、刑事施設、家庭裁判所、保護観察所などが勤務先です。産業・労働分野は約5.6%を占め、組織内の健康管理・相談室やハローワークなどで職場のメンタルヘルスケアやキャリア支援を行います。その他にも私設心理相談機関、大学、研究所などで活動する方が約8.3%います。

公認心理師の年収について、厚生労働省の「公認心理師の活動状況等に関する調査」によると、「300万円以上400万円未満」が21.3%と最も多く、次いで「400万円以上500万円未満」が17.7%、「200万円以上300万円未満」が16.4%、「500万円以上600万円未満」が11.1%となっています。公認心理師の平均年収は約433万円です。分野別に見ると、保健医療分野、福祉分野、教育分野では「300万円〜400万円未満」の割合が最も高く、産業・労働分野では「400万円〜500万円未満」、司法・犯罪分野では「500万円〜600万円未満」の割合が高い傾向にあります。

公認心理師の初任給は、常勤として働く場合は月収で20万円前後になることが多いとされています。非常勤の場合は週に数日の出勤となり、初任給も10万円程度ということも珍しくありません。経験を積むことで着実に収入アップが見込めるほか、他の資格を取得したり独立開業することで、さらなる収入アップを目指すことも可能です。公務員として働く場合は教育機関や病院、地方自治体の保健福祉部門などで活躍でき、安定した雇用と充実した福利厚生を得られます。

公認心理師の受験資格と取得ルート

公認心理師の国家試験を受けるためには、特定の受験資格が必要です。以前は7つの異なる経路(区分A〜G)が設けられていましたが、移行措置として用意されていた区分D、E、F、Gは既に終了しました。そのため、現在利用可能な主なルートは区分A、区分B、区分Cの3つとなっています。

区分Aは最も基本的なルートの1つで、4年制大学で公認心理師に必要な25科目を履修した後、大学院でさらに専門的な10科目を履修する方法です。最短で6年かかりますが、高い専門性を身につけられるため国家試験の合格率も高い傾向にあります。2025年3月実施の第8回試験では、区分Aの合格率は78.9%でした。

区分Bは、4年制大学で指定された25科目を履修後、厚生労働省によって認定されたプログラム施設で2年以上の実務経験を積むことで受験資格を得るルートです。大学院に進学する必要がないため、社会に出てからでも資格取得を目指すことができます。ただし、実務経験を積める認定施設(プログラム施設)は非常に限られているため注意が必要です。

区分Cは、外国の大学において心理に関する科目を修め、かつ外国の大学院において心理に関する科目を修了した方、またはこれと同等以上の知識および技能を有すると認められた方が対象となるルートです。

かつて存在した区分G(実務経験5年ルート)は、公認心理師法施行前から心理職として5年以上の実務経験を積んでいた方を対象とした特例措置でしたが、既に期間が終了しています。そのため、これから公認心理師を目指す方は正規のルート(区分A、B、C)のいずれかを選択する必要があります。

実務経験と認定施設の現状

公認心理師の受験資格を得るためのルートのうち、区分Bでは大学卒業後に認定施設(プログラム施設)で2年以上の実務経験を積むことが条件となっています。認定施設とは、公認心理師法第7条第2号に規定する施設で、文部科学大臣および厚生労働大臣により設けられた認定基準を満たしている施設です。

2024年9月時点での認定施設は合計12施設と非常に少ないのが現状です。司法分野では少年鑑別所および刑事施設が含まれていますが、法務省専門職員採用試験の合格者が対象となり国家公務員になる必要があります。裁判所職員総合研修所および家庭裁判所も同様に、裁判所職員採用の試験合格者が対象であり国家公務員としての採用が前提です。これらには年齢制限もあるため、定年後の方がこのルートを選択するのは現実的に困難です。

民間の認定施設としては、一般財団法人愛成会弘前愛成会病院、医療法人社団至空会メンタルクリニック・ダダ、医療法人社団心劇会さっぽろ駅前クリニック、学校法人川崎学園川崎医科大学附属病院、学校法人川崎学園川崎医科大学総合医療センター、社会福祉法人風と虹筑後いずみ園、社会福祉法人楡の会などがあります。

プログラム施設での実務経験には具体的な認定基準が設けられています。実務・指導に触れる時間が720時間以上かつ240回以上必要であり、心理的な支援が必要な個人または集団を対象とした心理に関する支援のケースを3例以上経験することが求められます。指導者一人につき実務従事者は5人までと定められており、標準的には3年間でプログラムを終えることが想定されています。

認定施設での実務経験を積むには、まず認定施設への就職が必要ですが、施設数が非常に少なく募集人数も限られているため、区分Bルートでの受験資格取得は競争が激しいのが実情です。そのため、定年後から公認心理師を目指す場合は、大学院進学を含む区分Aルートがより現実的な選択肢となることが多いです。

定年後の方に適した通信制大学での学び方

定年後から公認心理師を目指す場合、働きながらでも学べる通信制大学は有力な選択肢です。2025年4月時点で、通信課程で公認心理師資格に対応している大学は、聖徳大学(千葉県)、東京福祉大学(東京・群馬・名古屋)、京都橘大学(京都府)、放送大学(全国)の4校です。ただし、これらの大学でも特定の科目についてはスクーリング(対面での授業)が必要となります。

聖徳大学心理・福祉学部心理学科は千葉県松戸市にあるキャンパスでスクーリングを受ける必要があります。スクーリングは土日だけでなく平日に開催される場合もあるため、スケジュール調整が必要です。4年間の費用目安は約83万円(入学時費用約20万円)ですが、2024年4月から学費が値上げされ、公認心理師受験資格登録料が70,000円から100,000円に、スクーリングの受講料も6,000円〜13,000円に変更されています。なお、聖徳大学では実習先を自己開拓する必要があるため、実習先候補となる病院やクリニックに自ら連絡を取って交渉する必要があります。

京都橘大学総合心理学部総合心理学科は、体験を通して学ぶことを大切にした対話型・体験型の演習が特徴です。スクーリングは京都の本学キャンパスのみですが、週末に1〜3日で集中開講されるタイプが多くなっています。4年間の費用目安は約116万円です。実習選抜の倍率はここ数年2〜5倍程度で推移しており、選抜試験を突破した後は京都・滋賀県内の大学指定の実習施設で学外実習を行い、学内実習は平日昼間に京都のキャンパスで実施されます。「心理実習」は通年科目であり、公式サイトにも「就業しながらの履修はかなり難しい」との記載があります。

東京福祉大学心理学部心理学科は、大学院が臨床心理士の第一種指定校であり、通信制の数少ない大学院を持つ大学です。ただし、大学院に入学した場合はほとんどの実習が東京ではなく群馬の伊勢崎キャンパスになります。4年間の費用目安は約100万円程度です。心理演習・実習を取るためには高いGPAを取る必要があるなどの条件が課されており、実習は斡旋ありで群馬か都内のみ、代替なしとなっています。

放送大学は全国どこからでも学べる利点がありますが、2つの実習科目の受講定員は全体で30名と限られています。2025年度受講のための選考試験の出願倍率は18.0倍と非常に高く、過去の倍率も2023年度17.1倍、2024年度20.9倍と相当な難関となっています。

3年次編入と通信制大学院について

既に4年制大学を卒業している方は、心理系以外の学部卒業であっても3年次編入が可能です。ただし、東京福祉大学に確認したところ、3年次編入では2年間で公認心理師の対応科目や実習時間を満たすのが難しく、3年次編入しても実質的に3年間在籍することになるとの回答がありました。そのため、既卒者であっても通信制大学で公認心理師対応科目をすべて履修するには3年程度かかることを想定しておく必要があります。

通信制大学院で公認心理師資格に対応しているのは、2025年9月時点で佛教大学大学院(京都)と東京福祉大学大学院(群馬)の2校のみです。佛教大学大学院で公認心理師の資格取得を目指す場合、学費は635,000円で、入学後は学費以外にも16万円の実習費がかかります。東京福祉大学大学院の臨床心理学専攻博士課程前期には「臨床心理士コース」と「公認心理師コース」があり通信教育課程も選択できますが、通信教育課程で学ぶ場合は通学課程より時間がかかり3年の履修が必要です。

公認心理師や臨床心理士を目指す場合、研究だけでなく2年間で450時間以上の実習と必修授業でかなり多くの時間が必要となります。フルタイム(週5日勤務)での仕事との両立は不可能という意見もあります。ある程度勤務時間の融通が利く個人事業主や経営者であれば両立できる場合もありますが、週1日だけ外部で働くといった限定的な働き方になることが多いです。結論として、通信制大学で学部の必要科目を取得することは可能ですが、大学院レベルでは完全な通信制は限られており、実習の関係で働きながらの両立は非常に困難なのが現状です。

社会人向け取得ルートの費用と期間

社会人になってから公認心理師資格を取得するルートは主に3つあります。

ルート期間費用目安備考
大学は通信+大学院通学約6年約330万円最も一般的なルート
大学は通信+実務経験3年約7年約100万円認定施設への就職が必要
大学は通学+実務経験3年約7年約400万円費用は高いが実習環境が整っている

定年後から公認心理師を目指す場合、最も現実的なルートは通信制大学で心理学を学び(約3〜4年)、その後大学院に進学して専門科目を履修する(2年)という区分Aルートです。通信制大学4年間で約100万円、大学院2年間で約150〜200万円、合計で約250〜300万円程度の費用が必要となります。

公認心理師国家試験の概要と合格率

公認心理師国家試験は、マークシート形式で実施され約150〜200問程度の問題が出題されます。試験時間は4時間と長めに設定されており、広範な知識が求められます。総得点は230点で、138点以上(約60%)で合格となります。

公認心理師国家試験の合格率について、令和6年(第7回・2024年)は受験者数2,089人、合格者数1,592人、合格率76.2%でした。令和5年(第6回・2023年)は受験者数2,020人、合格者数1,491人、合格率73.8%でした。令和4年(第5回・2022年)は受験者数33,296人、合格者数16,084人、合格率48.3%でしたが、この年は移行措置ルートの受験者が多かったため受験者数が突出して多くなっています。2025年は受験者数2,174人のうち合格者1,454人で合格率は66.9%でした。区分別に見ると、区分A(大学+大学院ルート)の合格率は78.9%と最も高く、正規ルートでしっかりと学んだ方の合格率が高い傾向にあります。

合格者の年齢区分を見ると、30歳以下が約18%、31〜40歳と41〜50歳がそれぞれ約28%、51〜60歳が約19%、61歳以上が約7%となっています。このことから幅広い年代にニーズがある資格であり、シニア世代でも十分に合格を目指せることがわかります。試験は年1回の実施で、例年3月上旬に行われています。第8回試験は2025年3月2日に実施され、第9回試験は2026年3月頃に実施される予定です。

公認心理師国家試験に合格するために必要な勉強時間は300時間程度とされています。試験日が近づいてから慌てて学習するより、大学などの教育機関に入学した直後から授業と並行して過去問やブループリントを参考に対策を立てて学習を進めておくとよいでしょう。過去問は出題傾向がわかるうえ、繰り返し解くことで自身の得意・不得意な分野がわかります。頻出テーマとして、向精神薬の副作用、PTSD、DSM-5などに関する問題は頻度高く出題されているため、重点的に対策することをおすすめします。

公認心理師と臨床心理士の違いを理解する

公認心理師と臨床心理士の最も基本的な違いは、公認心理師が国家資格であり、臨床心理士が民間資格である点です。公認心理師は2017年に施行された公認心理師法に基づき設置された国家資格で、臨床心理士は1988年に誕生した民間資格であり日本臨床心理士資格認定協会が認定しています。

2024年時点での登録者数は、公認心理師が2024年9月時点で全国で73,628名、臨床心理士が2024年4月時点で41,883名となっています。臨床心理士は指定大学院での修了で受験資格が得られますが、公認心理師はそれに加えて4年制大学での指定科目の履修が必要となります。公認心理師は大学4年間と修士課程2年間の最低6年間、心理学のカリキュラムを履修する必要があるのに対し、臨床心理士は修士課程2年間のカリキュラムで養成されており、大学院に通いながら研究者としてのスキルを高められるのが特徴です。

試験形式と合格率にも違いがあります。2024年3月に実施された公認心理師試験の合格率は76.2%、2023年に実施された臨床心理士試験の合格率は66.5%でした。公認心理師は筆記試験のみで4択または5択からなる多肢選択方式の問題が150〜200問出題されますが、臨床心理士は1次試験(筆記試験)と2次試験(口述試験)が行われます。

更新制度にも大きな違いがあります。公認心理師の資格は一度取得すると更新の必要はありませんが、臨床心理士は5年ごとの資格更新が義務付けられています。定年後に取得を目指す場合、更新が不要な公認心理師は長期的に資格を維持しやすいというメリットがあります。

公認心理師と臨床心理士の就職先や活動分野に大きな違いはなく、どちらの資格でも「医療・教育・福祉・司法・産業」の5つの分野で活躍できます。法律による業務の独占はなく、どちらの資格でもほぼ同様の仕事に従事できます。

今後の展望として、2024年の診療報酬改定では公認心理師の支援に対して心理支援加算250点が新設されました。今後も公認心理師の求人数がさらに増加すると考えられます。現在は診療報酬上、公認心理師を持たずに心理職として勤務していた者も公認心理師としてみなす「みなし規定」が取り決められていますが、これは公認心理師が育成されるまでの一時的な措置であり、今後医療機関で心理職として勤務する場合には公認心理師資格が必須となる可能性があります。新たに両方の資格を取得する場合は、同時に取得を目指す方法が最短ルートと言えるでしょう。

定年後に公認心理師を目指すメリット

定年後に公認心理師を目指すことには、いくつかの大きなメリットがあります。まず、豊富な人生経験を活かせることが挙げられます。長年の社会経験や人間関係の中で培った洞察力、共感力は心理支援において大きな強みとなります。クライアントの話を聴き適切な助言を行う上で、人生経験は非常に重要な要素です。

公認心理師として独立開業すれば、定年がない働き方が可能になります。病院や学校などで雇われて働く場合はそこで決められている定年(60〜65歳)までですが、独立開業して自分で集客する場合は定年がありません。本人が希望する限り、身体が動く限り働き続けることができます。心理カウンセラーとして独立開業すれば、年齢に関係なく自分のペースで仕事を続けられます。

資格取得を目指すことで新たな目標が生まれ、生活に張りが出るという心理的メリットもあります。新たなコミュニティで新しい仲間たちと出会うことによって、やりがいや生きがいに満ちた第二の人生を歩める可能性があります。また、心の健康に関する社会的ニーズは高まっており、子どもの自殺や社会人のストレス、メンタルヘルスが社会的な問題となっている日本において、心理職は非常に意義のある仕事です。

さらに、活動的な生活を継続することで健康維持にも効果的です。単に収入を得られるだけでなく体力を維持することもでき、介護が必要になるリスクを下げて健全で充実した毎日を過ごせるようになります。

公認心理師としての独立開業という選択肢

心理カウンセラーとして開業するために必要な資格は法律上ありません。開業すること自体は税務署に「開業届」を届出さえすれば可能です。ただし、現場で働く多くの心理カウンセラーが公認心理師、臨床心理士、認定心理士などの資格を保有しており、特にフリーランスの場合は自分で集客するためクライアントに信頼や安心感を持ってもらうことが大切です。資格の中では国家資格の公認心理師が最も信頼性が高いといえます。

開業にあたっては注意点があります。カウンセリングルームの名称を決める際、「〇〇クリニック」などの文言を使うことは禁じられています。法律上、カウンセリングは医療行為にあたらないため、精神科や心療内科と誤解される名称での開業はできません。

開業場所については、カウンセリングは広いスペースを必要としないため自室でも開業できます。6畳ほどのスペースがあれば十分でしょう。フリーランスとして働く選択肢もあり、多くのクライエントを抱える企業と業務委託契約を結ぶことで店舗の設置問題で悩む必要がなく、仕事も安定しやすくなります。

料金相場について、直接会って相談に応じる対面カウンセリングの場合は1回(1時間)あたりの平均相場は8,000円前後といわれています。その他、電話相談なら1分150円前後から、メール相談なら1往復1,000円前後となっています。

独立開業を成功させるためには資格だけでは不十分です。カウンセリングの国家資格を持っていても、まったくお客さんを獲得できず廃業してしまったり、まだ1万円も稼げていないという方が多いのも事実です。成功と失敗を分けるのは、カウンセラーとしての実力や資格の有無ではなく、商品設計に関する知識、マーケティングについての知識、セールスの知識・スキルなどの経営に関する知識の有無です。資格取得と並行してビジネススキルも身につけておくことが、独立開業を成功させるポイントとなります。

公認心理師や臨床心理士などのカウンセラーには守秘義務があり、仕事の際に知った秘密はほかに漏らしてはいけません。フリーランスとして働く場合はクライアントの記録や情報を自分で保管するため、保存・管理に細心の注意を払う必要があります。

定年後の学び直しを支援する制度

2024年6月に閣議決定された「骨太の方針2024」では、全世代のリ・スキリング(学び直し)を推進し、学び直しのための「教育訓練給付」の給付率を最大70%から80%へ引き上げた上で対象資格・講座を拡大することが明記されました。定年後に公認心理師を目指す場合も、こうした制度を活用できる可能性があります。

2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行されたことで、定年制の廃止や定年の引き上げ(70歳まで)が努力義務として求められるようになり、60歳以降も働きやすい環境が整っています。2024年のデータでは65歳以上の25.7%(男性34.2%・女性19.1%)が就業しています。

経団連は、高齢社員が「学び・学び直し」に主体的に励む意識の醸成が必要であり、定年前の早い段階から高齢期を見据えたキャリア教育を実施し、能力開発・スキルアップを経済面で支援する仕組みを整備することを提言しています。

学習を続けるポイントとして、無理のない学習スケジュールを立てることが成功への鍵です。1日の中で集中できる時間帯を見極め、週ごとに学びたい内容を細分化し、小さな目標を立てることでモチベーションを保ちやすくなります。通学講座では同じ目標を持つ仲間と一緒に学べる環境があるため、孤独になりがちな勉強期間でもモチベーションを維持しやすく学習意欲の向上にもつながります。

定年後から公認心理師を目指すための具体的なステップ

定年後から公認心理師を目指す場合、まずは各通信制大学の資料請求やオープンキャンパス参加などで、自分に合った大学を探すことをおすすめします。聖徳大学、東京福祉大学、京都橘大学、放送大学のいずれかで、スクーリングの場所や日程、費用、実習の条件などを比較検討しましょう。既に4年制大学を卒業している方は、3年次編入の可能性も含めて各大学に相談することをおすすめします。

公認心理師の資格取得は決して容易な道ではありませんが、人生経験豊富なシニア世代だからこそ心理支援の現場で活躍できる可能性は大いにあります。合格者の年齢分布を見ても51歳以上が約26%を占めており、シニア世代でも十分に合格を目指せることがわかります。定年後のセカンドキャリアとして人の心に寄り添う仕事を目指すことは、社会貢献と自己実現の両方を叶える選択肢となるでしょう。

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