ファイナンシャル・プランニング技能士とファイナンシャルプランナーの違いとは?国家資格vs民間資格の選び方完全ガイド

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ファイナンシャル・プランナー(FP)という言葉を聞いたことがある方は多いでしょうが、実際にはこの分野には複数の資格が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。特に「ファイナンシャル・プランニング技能士」と「ファイナンシャルプランナー」という用語は混同されがちですが、実は明確な違いがあります。

これらの違いを理解することは、資格取得を検討している方にとって非常に重要です。なぜなら、取得方法、難易度、更新の有無、費用、そして実際の業務での活用方法が大きく異なるからです。また、就職や転職を考えている方、独立開業を目指している方にとっても、どの資格を目指すべきかの判断材料となります。

本記事では、これらの資格の基本的な違いから、実際の取得メリット、費用対効果まで、詳しく解説していきます。お金の専門家としてのキャリアを考えている方はもちろん、自身の家計管理や資産運用に活かしたい方にとっても有益な情報をお届けします。

目次

Q1: ファイナンシャル・プランニング技能士とファイナンシャルプランナーは何が違うの?

最も基本的な違いは、「ファイナンシャル・プランニング技能士」は具体的な国家資格の名称であり、「ファイナンシャルプランナー」は職業や資格の総称であるという点です。

ファイナンシャル・プランニング技能士は、厚生労働大臣から指定を受けた日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)が実施する国家検定です。この資格には3級、2級、1級の3つのレベルがあり、合格すると「〇級ファイナンシャル・プランニング技能士」という名称独占資格を得ることができます。つまり、この資格を持たない人は「ファイナンシャル・プランニング技能士」と名乗ることはできません。

一方で、ファイナンシャルプランナーという用語は、FP技能士の資格を持つ人だけでなく、AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)やCFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)といった民間資格の保有者、さらには無資格でもお金に関するコンサルティング業務を行っている人も含む広義の概念として使われています。

重要なのは、FP技能士は名称独占資格ではあるものの、業務独占資格ではないという点です。医師や弁護士のように、資格がなければ業務を行えないわけではありません。そのため、「ファイナンシャルプランナー」と名乗って業務を行うこと自体は、法律上の問題は生じないのです。

また、資格の有効期限についても大きな違いがあります。ファイナンシャル・プランニング技能士は一度取得すれば生涯有効で更新手続きは不要ですが、AFPやCFP®といった民間資格は2年ごとに継続教育を受けて更新する必要があります。

Q2: ファイナンシャル・プランニング技能士は国家資格、ファイナンシャルプランナーは民間資格って本当?

この質問への答えは「部分的に正しいが、完全ではない」です。より正確に説明すると、ファイナンシャル・プランニング技能士は国家資格ですが、ファイナンシャルプランナーという用語には国家資格と民間資格の両方が含まれるというのが実情です。

ファイナンシャル・プランニング技能士は、職業能力開発促進法に基づく国家検定であり、間違いなく国家資格です。合格すると厚生労働大臣名の合格証書が発行され、国が認めた技能を持つ証明となります。試験は日本FP協会ときんざいという2つの指定試験機関が実施していますが、どちらで受験しても同じ国家資格を取得できます。

一方、ファイナンシャルプランナーという職業に就く人が持つ資格には、国家資格以外にも以下のような民間資格があります。

AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)は、日本FP協会が認定する民間資格で、2級FP技能士と同等レベルとされています。取得には2級FP技能検定の合格とAFP認定研修の修了が必要で、2年ごとに継続教育単位15単位以上の取得による更新が義務付けられています。

CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)は、AFPの上位資格に位置づけられる民間資格で、世界25カ国・地域で導入されている国際資格です。1級FP技能士と同等レベルとされ、6科目すべての資格審査試験に合格し、通算3年以上の実務経験を積む必要があります。こちらも2年ごとに継続教育単位30単位以上の取得が必要です。

つまり、「ファイナンシャルプランナー」として活動する人の中には、国家資格であるFP技能士の保有者もいれば、民間資格であるAFPやCFP®の保有者もいるということです。さらに、これらの資格を複数持っている人も多く、例えば「2級FP技能士かつAFP認定者」という組み合わせも一般的です。

Q3: どちらの資格を取得すれば就職や転職に有利になる?

就職や転職への有利さを考える場合、2級FP技能士の取得が最も実用的でコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。ただし、キャリア目標や業界によって最適な選択は変わります。

金融機関(銀行、証券会社、保険会社)への就職・転職を考えている場合、多くの企業で2級FP技能士が評価の基準となっています。これは国家資格としての信頼性と、実務レベルの知識を証明できるためです。3級では基礎レベルとみなされることが多く、1級は取得難易度が高すぎて必要性が疑問視される場合もあります。

2級FP技能士の合格率は約20%〜60%程度で、勉強時間の目安は150〜300時間です。2025年4月からはCBT方式に完全移行しており、全国のテストセンターで随時受験できるため、スケジュールの調整もしやすくなっています。

不動産業界では、宅地建物取引士との組み合わせで2級FP技能士を評価する企業が多く、住宅ローンや税金に関する知識が直接業務に活かせます。保険代理店では、顧客への説明能力向上の観点から2級FP技能士が重宝されています。

一方、より高い専門性をアピールしたい場合独立開業を視野に入れている場合は、AFPやCFP®の取得も検討価値があります。これらの民間資格は継続教育が義務付けられているため、「常に最新の知識を保有している」という証明になり、顧客からの信頼獲得に繋がります。

特にCFP®は国際資格としての価値があり、外資系企業や国際的な業務を行う企業では高く評価される傾向があります。また、講演や執筆活動などの副業を考えている場合、CFP®の肩書きは大きなアドバンテージとなります。

資格手当の観点では、多くの企業で2級FP技能士に対して月額3,000〜10,000円程度の手当が支給されており、AFPやCFP®に対してはさらに高額な手当を設定している企業もあります。ただし、手当の有無や金額は企業によって大きく異なるため、事前の確認が必要です。

結論として、まずは2級FP技能士を取得し、その後のキャリア展開に応じてAFPやCFP®へのステップアップを検討するのが最も効率的なアプローチと言えるでしょう。

Q4: ファイナンシャル・プランニング技能士とAFP・CFP®の関係性は?

これらの資格は独立しているのではなく、相互に関連し合う階層構造を形成しています。効率的な取得ルートを理解することで、時間とコストを大幅に削減できます。

基本的な関係性は以下のようになっています:

3級FP技能士(入門レベル)

2級FP技能士 ≒ AFP(実務レベル)

1級FP技能士 ≒ CFP®(専門家レベル)

まず、AFPの取得には2級FP技能検定の合格が必須条件となっています。AFP認定研修を修了し、2級FP技能検定に合格した後、日本FP協会に登録申請を行うことでAFP資格を取得できます。つまり、AFPを目指す場合、必然的に2級FP技能士の資格も同時に取得することになります。

次に、CFP®の受験資格はAFP認定者であることが条件です。CFP®資格審査試験は6科目(金融資産運用設計、不動産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング、リスクと保険、タックスプランニング、相続・事業承継設計)から構成されており、すべてに合格する必要があります。各科目の合格率は約30%〜38%程度で、1分野につき40〜50時間の学習が必要とされています。

特に重要な関係性として、CFP®認定者は1級FP技能検定の学科試験が免除されるという点があります。1級FP技能検定の学科試験は合格率が約17%と非常に難易度が高く、また対策テキストも限られているため、CFP®から1級FP技能士を目指すルートが推奨されています。

実際の取得ルート例

最も効率的なルート

  1. AFP認定研修(基本課程)受講
  2. 2級FP技能検定受験・合格(同時にAFP登録)
  3. CFP®資格審査試験(6科目)受験・合格
  4. CFPエントリー研修受講・修了
  5. 実務経験3年の条件を満たしてCFP®登録
  6. 1級FP技能検定実技試験のみ受験・合格(学科免除)

このルートを取ることで、2級FP技能士→AFP→CFP®→1級FP技能士というすべての主要資格を効率的に取得できます。

費用面での関係性も重要です。AFP認定研修の受講料は約2〜8万円、CFP®資格審査試験は1科目6,000円(6科目で36,000円)、各種登録料や年会費も発生します。一方、FP技能検定の受験料は3級6,000円、2級11,700円、1級学科8,900円、実技25,000円程度です。

また、継続教育の関係性として、AFPは2年で15単位以上、CFP®は2年で30単位以上の継続教育が必要ですが、CFP®の継続教育単位はAFPの要件も同時に満たすため、両方の資格を保有していても重複して教育を受ける必要はありません。

Q5: 資格の更新や維持にかかる費用はどちらが安い?

長期的なコストを考慮すると、ファイナンシャル・プランニング技能士が圧倒的に安いと言えます。一度取得すれば更新不要で生涯有効であるため、継続的な費用は一切発生しません。

ファイナンシャル・プランニング技能士の費用

  • 3級:受験料6,000円のみ
  • 2級:受験料11,700円のみ
  • 1級:学科8,900円+実技25,000円=33,900円
  • 更新費用:0円(生涯有効)

一方、AFP・CFP®の継続的な費用は以下のようになります:

AFP資格の維持費用(2年サイクル):

  • 入会金:10,000円
  • 年会費:12,000円×2年=24,000円
  • 継続教育費用:約20,000〜40,000円(15単位分)
  • 2年間の合計:約54,000〜74,000円

CFP®資格の維持費用(2年サイクル):

  • 入会金:20,000円
  • 年会費:8,000円×2年=16,000円
  • 継続教育費用:約40,000〜80,000円(30単位分)
  • 2年間の合計:約76,000〜116,000円

10年間での総コスト比較

  • FP技能士(2級):11,700円
  • AFP:約270,000〜370,000円(初回+更新4回)
  • CFP®:約380,000〜580,000円(初回+更新4回)

この圧倒的な費用差を考慮すると、純粋にコストパフォーマンスを重視するなら、2級FP技能士の取得で十分と言えるでしょう。

ただし、AFP・CFP®の継続教育には価値があるという点も考慮する必要があります。金融業界は法改正や新商品の登場が頻繁で、税制改正なども毎年行われています。継続教育を通じて最新の知識を学び続けることで、常にアップデートされた専門知識を保有している証明となります。

継続教育の内容例

  • 税制改正セミナー
  • 金融商品の最新動向
  • 法改正対応研修
  • FP実務・倫理研修
  • 専門分野の深掘り講座

特に顧客と直接接する業務を行っている場合、「2年前の古い情報で説明している」と思われるリスクを回避できる点は大きなメリットです。

結論として、個人の家計管理や自己研鑽が主目的であれば2級FP技能士で十分ですが、プロとしてFP業務に従事し、顧客からの信頼を継続的に獲得したい場合は、費用がかかってもAFPやCFP®の取得・維持を検討する価値があります。

最終的には、自身のキャリア目標と費用対効果を天秤にかけて判断することが重要です。まずは2級FP技能士を取得し、実際に業務で活用してみてから、更なる専門性が必要かどうかを判断するのが現実的なアプローチと言えるでしょう。

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